- C 1089話 かつては、4 -
蒼とわたしの間には、かつての友。
千本松原でも障害にはなりえない――が、彼女は単に尖兵でしかなかった。
良くも悪くも狂戦士・蒼の居ない“スレイヤーズ”はチームではない。
故に、彼女が人工島へ引っ越すと。
自然消滅したと、千本松原は言った。
「蒼が硬派じゃないことは、幹部連中でも何人かが知ってました。ぶっちゃけると...です」
ぶっちゃけ過ぎだね。
蒼が混乱してるじゃないか。
彼女は上手く隠し果せていると思ってたのだから。
「蒼が本土から居なくなったのがきっかけで」
千本松原の言葉を借りれば。
蒼が時々顔を見せてる時、仲間たちもかつての栄光でも振り返るように集合してたが。
すでに崩壊してたのだという。
で。
千本松原は一計した。
騒ぎを起こせば、彼女が戻ってくるのではないか。
◇
チームの3分の1で起こしたチンピラたちへの攻撃。
『うーん、ごめん。蒼は家の用事が煩いから、そっちの集会に顔を出さないとダメなんだよね。...ったく、あの長老が、こっちはコ〇ケの準備で忙しってのに。親戚のガキども集めて手伝わせようかなあ~』
なんて悪態をついて。
不発に終わり、条件はクリアできなかった。
ま、
逆にだが不良少年・少女たちの方は、街に巣食う悪漢どもの一掃に貢献したとして。
いちやく...
街のヒーローになったという。
「マジで、何やってんの?!」
これがわたしの素の反応だ。
友達ピンチじゃん、本音駄々洩れだし。
蒼、見損なうよ?
「あー、あれね。いあー、マジ無理。長老さ、怒らせると仕送り途絶えちゃうんで。同人誌だけぢゃ未だ、まんま食えて無かったし。今ならほら、絶賛、音信不通だし」
えー。
そういうもんなの?
それでいいの?
「そこで肉巻きの千本松原は更に策を練り上げ、アレに至ったわけです」
多大な犠牲が出た。
骨折、捻挫、打撲、暴行、性的被害と何処までも最悪な記憶。
みっつのチームが了承した肉を切らせた苦肉の策。
蒼という少女に振り向いてほしかった一計だって話だが、みんな、それぞれに愛が重い。
ともすると。
わたしのこの胸の奥でぎゅっとされて。
腹の下がもやっと、きゅんと来るのは何だろう。
『天使が思うには、嫉妬だと』
虚空をグーで殴り倒した。
バットは振り抜けという言葉がある。
別にシモの話じゃないよ。
そんなことは連想してない。
「天心は...」
肉巻きボーイッシュちゃんがいつになく真面目に。
「変な薬でもキメてるんですか?! ちょ、怖いです」
違ぁーう! 違うよ、違うから。
ほら、マルも。
なんか言ってよ。
天使見えてるんだか...ら...?
寝てるぅー。
静かだと思ってた。
いや、静かすぎるなあとは思ってた。
「これは起きんなあ~」
自由ーっ!!
友人とはいえ、他人さま方に変な差し入れをして。
勝手に寝やがったぁー!!