- C 1075話 文化際・ダンジョントラベラーズ 5 -
普通科の出し物は、男子学生のコスプレ・メイド喫茶や。
女子学生のホストクラブなんかで、ちょっとドキドキさせられたけど。
魔法科は平常運転のようだ。
いい意味での、だよ。
さて。
マルを追うならエリザさんを探せばいいと。
この学科の特徴のようだ。
『友達だったんぢゃないんかい!!』
うーん。
連絡は取れてるんだけど、約束の地に行ってもさあ。
ガジェットに謝罪メールが来て――「ごめーん、今、手が離せなくてー」とか。
ニアミスのような気がしてねえ。
『ダメじゃん!』
「ダメじゃん」
蒼さんからも天使と同じことを言われた。
マルを追うことを辞めると。
蒼とやりたい事が見えてくる。
◇
「蒼は戦士の申告です!」
ARデバイスを装着した彼女の職業は重戦士。
左腕にラージシールドを装着して、アマゾネスっぽい逞しさが見え隠れする。
露出の方は、マイルド。
「えっと、蒼さん?」
「は、い?」
不思議そうに返答。
一応、ジャージの上から装備品を装着しているんだけど。
こう。
貸し出されたファミリアによるホログラフィックは、リアリティで視覚がマヒするような感覚がある。
つまりガジェットのスイッチをオフにすれば、着衣しているのに、だ。
ファミリアを通してみた世界の蒼は、その。
目のやり場に困るのだ。
「こ、腰の紐、そ、そんなに下げて、そ、そ、そ、」
「大丈夫ですよ!! この紐はニセもので魅せるだけのものなのです! あと、こっちの肩紐は透明なものを使ってて、天心さんほど重くはない蒼のですから、弾け飛ぶことはないと思います!」
ふむ、ふーむー。
いあ、そうだと思うけどさ。
防御力とか数値的には?
そういう心配も必要はない。
めっちゃ裸にちかい装備品は何故か、防御力が高く設定されてあって。
悪意さえ感じる。
いや。
まあ、パートナーの柔肌が見れるのは、いいことだよ。
誰かに見せつけてやるという癖はないけど。
理解はデキる。
それは、裏を返せば蒼も同じだった。
「天心さんは、治癒と補助魔法お願いしますね!!」
おっと。
そう、か。
「――で、衣装ですけど」
蒼に選んでもらったのが、バニー・聖女。
ハイヒールに網タイツ、水着のようなレオタードで頭飾りにウサ耳フードが付く。
待って、待って。
えええ?!
「武器は、こん棒にしますか? それとも素手?」
素手?!
それ、後衛じゃなくなるよね。
「ま、まあ、はい。天心さんの性格だと後ろで、引き籠りは似合わないかなあと」
いや。
たぶん似合うと思うよ。
ちょっと前までは、引きこもり上等な出席日数がヤバイこだったし。
『いえ、現在進行形でヤバイ子ですよ?! 天心さん』
天使は黙ってようか。