- C 1068話 文化際・爆ぜろ、わが身 2 -
「蒼に妙案があります!!」
そう。
彼女も大概に、わたしを、かわいがるの好きだよな。
ひらべったい布団の中で。
耳たぶを甘噛みしてくるし。
見えないように、後ろ髪の下にキスマークを残す。
悪戯っ子だ。
で、初対面の時では想像が出来ないほど。
わたしが押されっぱなしである。
「デザイナー氏、妙案とは?!」
「炎の中で、ワンピースが溶ける演出はどうでしょうか!! 天心さんが浄化されていくシーンは、戒心のような雰囲気があって。NTRは手段だったけど、実は悪女の飢えは満たされていたんだってシーンに繋がらないでしょうか!!!!」
拳に力が入ってる気がする。
演出家も頷き、脚本家のオタクが戦慄してる。
だが、服が溶けるんだよな?
それ、また。
蒼は小声で『天心さんの柔らかいところは私だけが知ってますから、平気です!』と。
いあ、それはそれでハズいです。
◇
リハーサルと称して、
ホログラムと、マネキンが用意されて。
人形には肌色の水着が宛がわれてた。
一応、そこに。
わたしのアバターが重ねられて――もう、この映像だけで良くね?
「臨場感がないです!」
蒼に怒られた後に。
脚本家のオタク集団からも、
「臨場感がない! いいですか? 二葉氏。こう、炎が上昇気流を生み出し、髪や服が燃えながらふわふわと上がっていくシーンには、悪に堕ちてた彼女の魂の救済ってテーマが眠ってるんですよ!!!! そこで神々しく天に招かれるような煌びやかさとか、そんなのが加わって...」
こぼれるあたしと僅かな布面積で、だ。
見えるか、或いは見えないかって情景を観客に与える。
男親はソワソワし。
女親はハラハラする。
お前ら、アホだろ。
「蒼はドキドキです!」
うん、知ってた。
わたしの身代わりのマネキンだが、な。
「燃えてるんだけど、何故に?」
「当たり前のこと聞くなよ、二葉氏!! いったん、燃やしてみて臨場感あるエフェクトの採取が必要だと思わないか?! このあと2、3体は燃やして... そのあと氏も燃やしてみて検証に入る!!!」
ちょ、わたしもかよ。
いあ、まて。
わたしは燃えたくないんだけど???
「大丈夫、ポーションと治癒士のみなさんはスタンバイに入ってる」
「そういう意味じゃないだろ」
蒼氏からも説得を。
「活きがいいのは分かったが、灼ける肉の匂いは押さえておきたいんだ」
「へい、蒼、了解です!!」
わー