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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2212/2360

- C 1066話 文化際・開催 3 -

 あおいから。

『そろそろ天心こころさん、燃やされる頃じゃないですか?』と、告げられた。

 マーシャル王国立魔法科高校。

 中二病だろっていう校名さえ何とかして貰えたら。

 この学校の平均偏差値は、本国の名門高校にも匹敵する学力がある。


 あるんだよ。


 島の連中だって分かってるんだけど。

 やっぱり校名がなあ。

 色物でも見るような目がな。


 ま、まあいい。

 半世紀の歴史と、諸先輩方の実績とで。

 中二病さを払拭してきたわけだが。



 演劇の冒頭は、エリザさんが演じる“聖女ラ・ピュセル”の情熱的な愛の物語だ。

 普通科の生徒会長が『ジル・ド・レイ将軍』を演じてくれている。

 身長は170の後半。

 エリザさんもハーフらしい成長ぶりだが、やはり彼の肩ほどにか届かない感じで羨まれてる。

 顔を埋めるのは、がり勉高校生にしては厚めの胸板へ。

「お、やっぱり絵になるな、あのふたり」

 舞台の袖から絡みに注目してた。

 将軍の選出は、運営からの打診。

 失礼なことに、お前なら相方として不足なしと、告げたそうだ。

『でも、エリザさんは不満のようですよ?』

 天使が呟きを会話に成立させた。

「そうか?」


『マルさんとの絡みを見せたかったんでしょうねえ』

 あんな“わんぱく”なののドコがそんなに。

 それは盛大なブーメランだと知る。

 逆にわたしの蒼への想いだって他人から見られたら、そういう事だ。

『そろそろ幕が下りますけど、将軍の篭絡って?』


「夢の中で、聖女に成りすまして毒の盃を飲ませるんだってさ」

 幕が下りる。

 チャンバラのようなアクションは後半へのお預けだが。

 観客への度肝を抜きに行った、聖女の半身のような乙女の登場は――ハプニングの連続から始まる。




 まず、肩紐が。

 ()()()の想像以上の重さに耐えられなかった。

 耳元で乾いた音が響く。

 愛おしく将軍を誘っている最中の出来事なので、演出だと思われた。

 そのあと、だが。

 将軍かれの腕の上に『あたし』が零れ落ちて、だ。

 両手で受け止めてくれた。


 いや。


 なん、つうか。

 駄肉があああ!!!

二葉ふたば、さん?!」

 困惑しているのは普通科の生徒会長さんだ。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 こんな、肉、重いですよね。

 ごめんなさい。

「いえ、役得です。すっごく柔らかくて、その、気持ちいです!!」

 これは小声なので、観客席側には届いていない。

 だが、篭絡する――パンフレットに掛かれてたシーンでの乳出しなので。

 脚本家チームと、運営側はこぶしを握り締めて納得してたっぽい。

 ま、さ、か、ああああ?!



 ――打ち上げ。


 初公演は無事終了した。

 衣装はすべて買い取りで数着用意されてて。

 肩紐がはじけ飛んだのは一着だけだ。

「ハプニングに自我を忘れないとは、肝が据わっているな? 二葉君!!」

 演劇科の演出家さん。

 講師の人だけど、ジル・ド・レイ将軍をベッドに押し倒したところでシーンの切り替え。

 わたしは衣装替えが出来たわけだが。

「で、どうだったね? 二葉君の“おっぱい”を救助した触り心地は?!」

 あ、そっちに振る。

 生徒会長は耳先を赤くさせて、

「めっちゃ気持ちよかったです」


あおいは嫉妬します!!」

 服飾デザイナーとしてスタッフ参加の蒼さん。

 まあ、なんですかね。

 この蒼と二葉は付き合ってる感の雰囲気。

 打ち上げの優しい空気が心地よかった。

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