- C 1064話 文化際・開催 1 -
人工島の南区は観光と商業区域になっている。
ヨットハーバーやら、金持ちたち専用のリゾート地も完備されてて。
また、商談が出来るプライベートとセキュリティの厚いホテルなどもあった。
そこには島内最高の学府と、進学校が2つ。
文化祭となると、
自慢の頭脳でいつもと変わり映えのしない、AI搭載型パワードスーツが展示される。
こんなんでも人工島のエンジニアとして採用率は毎回トップであるのだ。
「うっわ、マルがいた!!」
わたしと蒼のふたりが学府の喫茶店にまで足を運んだら、マルとエリザさんに、ハナさんと遭遇。
こんなトコで出会うとは。
こいつの炎でわたしが燃やされるんだよなあ。
出来れば、当日まで会いたくなかった。
◇
トコトコ、小さなあんよでマルが寄ってくる。
手のひらは地に向けて、ひらっきぱなしで。
腕もぴんと伸ばして――
「そんなコト言ってぇー!! ボクに会いたかったんだろ。天ちゃんって素直じゃないなあ」
わたしのわたしで見えなくなったが。
まあ、腹にしがみ付いているのは抱き着いた感じで分かる。
わかるが。
「吸うなああああ!!」
「ほえ?」
「吸うなああ!!」
“おっぱい”の下に顔を埋めて、だ。
密着したところで、こう。
まあ、なんだ。
汗かいてるっぽいトコをくんくん嗅いでるような。
「あ、え?」
マル以外のしがみ付きがある。
見失ったマル以外だと、エリザさんも居ない。
こいつらあ~
隣にある蒼は、きょとんとしてた。
「蒼のチャージは後程で。ふたりにこの時間は譲るです」
「なんだ、ラブラブじゃん!」
腹のちかくから声がする。
振動にも似る。
「いい加減、離れろ。大通りだ」
ふたりの美少女に抱き着かれてるだけでも悪目立ちしている。
学府の名物ふたり組だと尚更で。
その名物ってのも、この後、知らされた。
◇
喫茶店に無事、到着して。
展望ラウンジなる設備にまでストレートに通されてた。
「――で、何? 天ちゃんと、蒼ちゃん、どこまでイったの?」
マルの食いつきが抉い。
エリザさんの「ダメだって、ふたりの情事だよ」って、もっとオブラートに包め。
「エリザさんがオシャレなカフェにあるのは花になるとして。こんな“わんぱく”が表札みたいなマルは、なにゆえ? ここに」
そそ、ゲームで引き籠もるか。
あるいは、野生児のごとく西区のサバイバルなイベントに参加しているクチだと思ってた。
西区のイベントを告げたら乗り気だった、が。
「マルが散財したもんが、展示されるってんで見にきた」
やや語気がキツめに感じた、ハナさんの言。
昔を思い出す。
わたしのメイドもこんな雰囲気があった。
「や、やあ~ 知らないなあ」
鳴らない口笛を吹く。
マルでもこんな表情があるのか。
さては、ハナさんは怒らせてはダメな人か。
「蒼、興味津々です! マルさん何に使ったんです??」
おーい。
触れるな、武士の情けだよー。