- C 1062話 文化際・準備 2 -
開催まで1週間を切った。
東区にある服飾デザイン専門学校なる私立校で、例の鎧というか。
もはや破廉恥な水着が仕立てられるという。
そのデザインだが、神学科生徒会主催の運営員会のさらに厳正なる審査によって――。
普通科に通う蒼 勇樹のものが当選した。
究めて情熱的なタッチで描き込まれたコスチューム。
肩ひもは透明で、乳〇がギリギリ見えない半カップな布面積と、正面の臍まで覆い隠して、腰から背中へ駆けあがるような龍鱗っぽい網目。見えないような、いやいや目を凝らせば薄っすらと、臍が見える絶妙な色合い。
右肩に龍の頭が飾られる。
いや、それよりも大事なのは下だよ、下。
一応水着は買ったけどさ。
結局、ソレ使わないんだろ?
蒼がデザインしたパンツは。
Tバックのもの。
敢えて際どく大胆に布面積を削った後で。
パレオを上から巻く。
ブロードソードを提げる反対側に大きく深いスリットが入ってるのも特徴だ。
抜刀時に足が広げられるよう、ではない。
わたしの大きな体躯と大きな演技で、ちらちらと覗く内太股に観客の目が行くように作られてある。
「これ、パレオとローブ無かったら、ただの変態で痴女だよね!!」
当然な反応をありがとう。
それがあるから少しは救いなんだよ。
「蒼の力作です!」
うーん複雑だ、これは褒めていいのか。
◇
ビキニ・アーマーのデザインが決まると。
脚本家たちのやる気に変化があった。
ラブロマンスだったはずの演出が、だ。
いつの間にかアクション映画ばりの方向性へと舵が切られてた。
ジャンヌ役のJKからも、
「私は脱げませんよ? 二葉みたいに何もかも棄ててるわけじゃないんです」
わたしも棄ててませんが?
と、張り合ったところで意味も無し。
「じゃ、そこはARで」
「嫌ですよ~ 勝手に想像で書き加えられるのは!!!」
ラ・ピュセルが降板してしまう。
ああ。
脚本家どものバカが。
二葉と同じボリューム感で、エリザさんに白羽の矢が。
「演ってもいいですけど、私も脱ぎませんよ? ジル・ド・レイ将軍にマルちゃんを起用するなら、ワンチャンありかもですけど(やや恥じらいながら)私たちの情事に一般客を巻き込むのは... 流石に、気が引けますねえ」
脅すな、脅すな。
「はいはーい! 監督ぅー!! 竜の方が破廉恥なら聖女は身が固くても当然じゃ無いっすかね? その分、こっちが将軍を篭絡するのに、変な演出挟まなくて済むんじゃないですかー?」
まあ、わたしは何を言ってるんだって思ったね。
そっと鏡に映ったソレが天使だったので、まあ、合点はいったけど。
探しても居ないと思ったら。
また、わたしを操縦しやがって。
「じゃ、ジャンヌの生き別れた片割れが、将軍をNTRするってことで」
うわ~
それ開催できるのかよー。