- C 1061話 文化際・準備 1 -
高級ブティックに迎え入れられて、裸足でレッドカーペットみたいなのを歩いてたような、夢のような夢をみた後の――シーツが盛大に濡れてる違和感で、今、わたしが跳ね起きたところだ。
天使が体半分、壁から生えたように見える形で。
『また、派手にヤりましたねえ』
派手に、ぢゃねえよ。
わたしじゃ、わたしじゃねえよ、たぶん。
寝る前に2回は行った。
トイレの中で...
っ、まあ。
昼間のアレを思い出して吹くまで擦りはしたが。
布団の中で吹くような、ことは。
『潮っ気はないですが、独特な匂いはしますね』
いうなー。
いうなあああー。
頼むから、いうな。
絶対に、だ。
「天心さん、ごめんなさ~、い? あれ、起きちゃいました?」
ん。
あ、蒼、か?
「はい、蒼です。天心さんに手製のスポドリ呑ませようと思って、豪快にぶちまけた蒼です!!」
あ?
◇
魔法科で売られている“ポーション”を原材料にした。
マルが仕入れてきた“巣蜜”を足して煮詰めたという実に甘そうな液体に、薬草などが微塵切りにされて投入――スムージーみたいになってる飲み物が、わたしの股間に投げ込まれた。
たぶん元気になったのは一部なんだと思うけども。
まって、まって。
わたしの裸を堪能した後、プールに行ったまでは記憶があるんだけど。
「蒼はそのままお泊りです。天心さんったら強引で」
は、はい。
「なかなか眠らせてくれないんですよ。でも(くすりと、微笑みが浮かぶ)...まさかあんなにかわいいトコがあるなんて」
ええ?!
覚えてないけど。
あれ、これ覚えておかないとダメなパターン。
もしかして...
「一回だけ負けて上げたら、其処で喜んでくれて寝てくれました」
そっちかー。
記憶がないまま、押し倒したんかと思った。
「ちょっと意外だったのは、横になってたら蒼のうなじを嗅いできたのはびっくりです」
で、スムージーを作り運んできたら。
寝ぼけたわたしは、屈んだ蒼にキスをしたというのだ。
信じられないが咄嗟だったと打ち明けて。
二度目のびっくりで、持ってたスムージーを豪快にぶちまけたという。
「うああああ なんか、ごめん」
「いえ、蒼も不勉強で、驚かせてしまったようで」
蒼の中でキスと言えば舌を絡めるディープだという。
BLなどの参考資料からの知識だといったが、実戦でソレが出来るとは思えない。
が、蒼は濃密な唾液の交換までやってのけたのだと。
聞き出したわたしも赤面だけど。
指先で唇を這わせている蒼も、頬が赤い。
こ、こやつ初めてではないな。
その時はなんとなく、そう感じた。