- C 1059話 もう、次から次へと... 4 -
隣の芝生は青いんだって、その芝生を少しこっちに持ってきたら、さ。
うちの芝生もキレイに見えるかな?
ってな心境は、さ。
羨望っていうんだろ。
だけどね。
わるいけど、わたしには男を下半身とか容姿で見てねえんだわ。
いい奴は〇んこの太さや重さ、大きさ長さじゃないと思うんだよ。
性根だと思う訳よ。
「で、さあ。副会長!」
「はい、未だ何か?」
まとわりつく蠅の如きあしらい方だが。
ま、彼女に掛かれば男女の差なく、そんな風にされる。
夢は修道院長になる事だって言ってたっけ。
「バストアップの子も、ほら...」
「おっぱいでしょ、加工して二葉に合わせます」
え? わたしに。
なんで。
わたしのを小さく。
「およそ14世紀あたりの少女が、あなたのように(視線が腰や腹に刺さる感じで)ふくよかな訳がないと思うのですが、神学科の講師陣も含めて、悶えるジャンヌが見たいとのことです。不謹慎ですよね、神の学び舎でこんな」
うん。
其処は素直にうなずける。
こうなると、甲冑が気になるぞ。
「まさかとか思ってるとこ、本当に申し訳ありませんが...水着、ありますか?」
は?
◇
今年は奇数年だ。
恒例の『聖女ジャンヌ』に一風変わったタイトルが。
『聖女ジャンヌと竜の乙女』――うーん、なんか嫌な予感しかしない。
神学科の“同人誌同盟”という死語の連中が、書き上げたファンタジー・ロマンス。
ジル・ド・レイ将軍と恋を燃え上がらせてた聖女の下に、竜を使役した魔女が現れるという。
ここいら辺から雲行きが怪しくなり。
その魔女は英国が送り込んだ、ジャンヌの生き別れの~
「ふくよかな姉、だって~」
マルが台本を読んで、笑い転げている。
いあ、内容にではない。
わたしの衣装に。
「蒼は天心さんにはもっと胸を張って、こう乳〇を突き立てた牡牛のように堂々としていて欲しいと思ってます。だって絵になりますし、蒼の筆が止まらないと思います。いえ、むしろ蒼にビキニ・アーマーのデザインを任せてもらいたいです!!」
鼻息が荒いって。
どこか削る気満々でしょ?
もう残ってるとこ少ないんだし。
いや、ほとんど裸な気がするよ、マジで。
「その水着が、ね。無いんだけど...どうしよう」
◇
言っちゃイケなかった。
蒼は目を輝かせて――「直に!」を強く推してくる。
そうなれば衣装は買い取り間違いなしだが。
「蒼が大切に保管、いえ、ご神体として報じらせていただく所存!!」
リキ、入ってるねえ。
いあ、さすがに直履きはちょっと。
擦れると痛いし。
『天心さんのは所々規格外ですもんね!!』
ああ、余計なことを。
マルが興味持ったじゃねえか。
「あ、蒼も、です!!」