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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2194/2359

- C 1048話 キューピッドと名乗る不審者が 3 -

 天使曰く。

 キューピッドってのは厳密には、天使とは全くべつの生物であるという。

 まあ、どっちかというと妖精に分類されて、天界の下請け業者である。

 大きく分けると。


 赤い運命の糸を、

「へい、彼女。暇してるかい?」的に声を掛けて、意中の有無に関係なく他人を巻き込んでいくお騒がせな、存在なのだというのだ。そのおかげで近年でのキューピッド迷惑案件は、過去最悪にまで至り。

 三角関係のもつれの他に。

 運命の赤い糸がもつれて修羅場みたいな事件、事故が堪えないって話。

 TVで騒がれてたい芸能界のおしどり夫婦が、だ。

 20も年下のアナウンサーに食指を伸ばしてつまみ食い。

 果てに盛大に離婚したって影にも。


 くだんのキューピッドが絡んでた。


 天界では下請け業者の再選抜も検討しているって話も挙がってて。

 そういうのも含めて。

 わたしに憑依してた天使も天界に上がってたって言うんだけど。

 そこ、まずは主語がねえ。

『どうも主語なしデュラハンです』

 首なしに掛けんな。

 もっと反省しろ。



 さて、マルのお姉さんが目撃したっていう中年小太り、脂ぎったバーコード頭の妖精だが。

 学院へ登校してみれば――いつになく見える見える、なんだ、この数?! まるで羽虫の大群じゃねえか。

『言いえて妙ですけど、各国とも季節はうっすら終わりかけの()ですからね。このまま、夏に向けてとなるとパートナーがいないと、ほら、水着イベントでぼっち。魅せるボディ、揺れるパイオツに、食い込んでうっすら見えるスジとに嬉し恥ずかし、小さな丘の見せ場がないじゃないですか!!』

 いいよ。

 いらないよ、そんなイベント。

 そもそも縁がねえし。

『また、卑屈になる。あおいさんに魅せて上げないんですか? 天心こころさんのエロいボディ、すっごい創作意欲が燃えるかもですし。もしかすると』

 含み笑いする天使に殺意が湧く。

 あおいとは健全なんだよ、そんなん、ねえよ。誰得だってんだよ。

 あ~あ、恥ずかしい。

「だが」

 そう。

 あの子にも天使が見えるってんなら。

 キューピッドも見えてるはずだ。

 絶妙な角度で足の影にアレを隠してはいるけど。


 蒼には見えなくとも。

『こっちからでは... 案外、ちいさいのが見えるもんですね』

 感謝はしない。

 ついでに天使おまえも殴る。

 言わなきゃ、わたしも見なかったはずだ。

『ゾウさんをですか? いや、マジ、無理でしょ。天心こころさんむっつりですもん』

 こいつ。




 いや。

 ここは、蒼を救出する必要がある。

 わたしの友達は、わたしの拳で守って見せる。


 で、

 天使と天使もどきと、キノコのモンスターを蹴り飛ばして、ゾンビ張り倒し。

 あおいの下へ駆け寄った。

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