- C 1047話 キューピッドと名乗る不審者が 2 -
『それ、キューピッドのおっさんですね!!』
しばらくぶりの天使。
このコンビニ、天界と通じた穴があるとのことで。
天使たちは新しい厚生プログラムの短期報告会をしているのだと。
彼女は、宿主であるわたしにではなく。
見えてるか不明なマルのお姉さんに報告してた。
おい。
「そうかい、キューピッド」
天使見えてる?
お姉さん、見えてるの?
わたしの問いには無関心で。
「で、そいつのゾウさんを見たら?」
会話が成立してるんだか、フィーリングだけか。
なんとも絶妙にタイミングが合致してるようで。
『いあーお勧めしませんね、おっさんのバナナの話ですよね?』
幸運とか。
マジでそういうの無いんか?
『ないですよ~ 強いて言うと、トラウマになるくらいしか』
わたしは、天使でトラウマだよ。
こんな姿で外、歩かせやがって。
ヨレヨレのジャージだよ。
これでも一応、中学で来てたヤツでさ。
唯一、買ったもんだ。
「マルなんかもっと酷い恰好で部屋の外、出るからな。お前さんのは、まあ小奇麗な方だろ」
マジかよ。
これでか?
『洗ったの2週間前でしたっけ?』
「悪かったな3週間前から、カレーの染みが落ちてねえよ。わたし自身の匂いがついてるし、安心できるから極力洗いたくねえだけで。洗濯したいなあ~くらいの気持ちくらいはあるんだよ」
巻き煙草の手が止まる、お姉さん。
「じゃ、店の洗剤買ってけよ。安くしとくぜ?」
じゃじゃないでしょ。
そんなカネがあったら課金しますよ。
「おうおう、マルみてえなこと言いやがって。デートする時もそんな恰好じゃ締まりが悪いだろ?」
しないですよ~とは正直、何があるか分からないことにはなってる。
ま、デートかは置いといても。
蒼が遊びに誘ってきたらと思うと。
「いい顔になった、な。じゃ、洗剤」
「いえ、一張羅を」
2か月、課金を抑えればジーンズとシャツくらいは、ギリ。
◇
学院にキューピッドのおっさんがいる。
マルのお姉さんが残した『謎の言葉』――蒼の周りで多数の中年不審者を発見することになる。
いずれも、すっぽんぽんで小太り。
絶妙に短く太い足でゾウさんを隠してるんだが。
「なあ、天使」
『はい... あんまり答えたくない質問のような気がします』
わたしも口に出そうとは思わなかったよ。
「あいつら。まさか、短くて、小さいんか?!」
今は亡き、ふたつ上の兄貴はたぶん... 普通の方だと思うけど。
よっつ上の兄貴はマジゴーヤか、へちまかって長さだった。
妹にトラウマ植え付けるくらいの衝撃で。
それが通常だって聞かされた時のわたしの硬直を、誰かにも味合わせたかったね。
いま、わたしを虐めてると思ってる連中に知らせたいっていうか。
怖がらせたい。
『ご想像にお任せします』
キューピッドですからとか、逃げんな。
だったら。
純真無垢な蒼が危険じゃないか!!