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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
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- C 1045話 気になる子が、5 -

 あおい 勇樹ゆうきの魅力は、わたしが一番よくわかってる。

 てか、この素敵な友達を誰かと分かち合うなんて。

『恋って盲目言いますけど。そこまで片思いだと、存外、ドン引くもんですね?』

 天使がわたしの視界に覆いかぶさってきた。

 巻き毛が口に入る。


 ぺっぺぺっ。

『心外です!!』

 髪が口の中に入ってきたから吐き出したんだが。

 その行為がよくないと、天使が抗議した。

「――ったく、マルとじゃれやがって。途中で身体の制御奪って、アレとチャンバラしたのは何処のどいつだよ!! あおいとの貴重な時間がパーじゃねえか!!!!」

 放課後の事だ。

 釈明まち。

『あれは... あおいさんがどうしても、と』

 なんで。

 普通科に通うあおいは、美術部に在籍している。

 部員は同人誌というのを制作しているオタクって死語の連中。

 電子書籍が主流になって以降も。

 紙の温もりが忘れられないって旧人類っぽい一部の人たちが。

 そうだなあ地下倶楽部的に活動しているイベントがあって。


 それらの商品を自作してるって話。

 すげえ、クールじゃね。


 フィルムに焼いて、インクを載せて、輪転機で刷る。

 マジ、本格的。

 工業科の連中が作ってくれたんだとか。

 試しに、

「これが天使さんモデルの天心こころさんです!!」

 お、おお。

 複雑な気分だけど。

『受肉したんで、天使わたし天心こころさんは一心同体です!』

 だろうな。

 ひとつの心じゃねえけどな。

 4畳ひと間みたいな表現しやがって。

「ありがとう。うん、確かにホットな気分に、なる」

 乳首、勃ってねえよな。

 谷間の内側がきゅんきゅんして、心臓の鼓動おとが外に漏れ出そうな気分だ。

 うわああああ~

 ちょ、止まってくれえええ~

『マジ、止めます? 死にますけど』

 天使、出てくんな。



 あおいと手を繋いで帰宅。

 手を繋ぐイベントって急に来たんだよ。

 それは一瞬にして。


 マルのやつが、

「ほら、もう。じれったいなあ~ 友達は手を繋ぐんだよ」

 いや。

 絶対に違うだろ。

 あいつが強引に蒼と手を繋がらせて。


 やべ、覚えてねえ。

 手汗、ヤバくないかな。

あおいは人工島生まれじゃないんです」

 本州で何かあったっぽい。

 理由は伏せられたけど。

 彼女は見知らぬ土地で、生き直すことにした。

 それが人工島へ来た理由だといった。


 逃げることは、悪くない。

 一度離れて、見つめ直す時間は貴重な時がある。

 たぶん、未だ、ここに未練があるなら。

「そしたら」


「うん?」


天心こころさんと出会ったんです!」

 なんか心なしか。

 急にぎゅっと強く握られたような気がした。

「ああ、わたしもだ」

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