- C 1043話 気になる子が、3 -
友達1号。
ネーミングセンスが少年のようなのは、わたしの育ち方の問題だ。
両親が他界すると同時にふたりの兄も。
わたしを残して逝った――両親とともに、だ。
兄の影響で妹じゃなく、弟みたいに育ってしまった。
それで大ババ様と、なんか疎遠。
いあ、わたしのは...いいか。
友達1号は、
蒼 勇樹。
名前だけなら男の子みたいな雰囲気で、サバサバしているんじゃないかって潜入感が。
しかし親しく付き合ってみると、これが全くの正反対な性格だった。
彼女は普通科の美術部に属する影の薄い子で。
悪目立ちして、教室にいられないわたしとは別の居られなさがあった。
別に虐められてるわけじゃないと思うが。
こういう集団生活に馴染めない子はどこにでもいるもんで。
まあ、そういう括り方で言えば。
似た者同士だったかもしれない。
わたしの中の何が。
彼女の容姿から目が離せないでいて――『それが恋ってもんですよ!』
ああ、横で天使が囀ってる。
で。
友達2号。
司馬 丸恵。
魔法科へ編入してきたばかりの少女。
同い年で、快活にして所謂、なんでもデキる子ってタイプだ。
苦手意識さえ初手で感じなければ。
恐らくは器用に熟してみせる天才肌じゃないかな。
個人的にゃあ。
肌感覚で付き合いにくいのを友達に持ってしまったトコ。
◇
神学科と魔法科は相容れない風潮だったが。
ある学年で大きな異動があったとかで。
定員割れを起こしたとのこと。
交わることのなかった学科がついぞ隣に引っ越ししてきた感覚。
「どうも、どうも」
例の異装の子――愛称では“マル”ちゃんとか。
マルちゃんって呼ばれるような年頃か?
「おっと、今日は腹に穴をあけていないようだね」
上衣は半袖のランニングシャツ。
下衣は短パンってな体操服姿のわたし。
対する、マルちゃんも。
学校指定の同じスタイルのよう。
「ふふ、こと身体を動かすことには負け知らずな、雪原の狐とは!! 二葉天心のことさ」
名乗りを上げるつもりはなかった。
この合同教室は生徒会主催のもので。
一応、風紀委員って所属で主催者側にあったわけだが。
マルちゃんが煽ってきたんだ。
売られた喧嘩は買う主義でね。
彼女は鼻を鳴らして。
「ジャングルの小鬼を舐めて貰っちゃあ、困るさね」
ジャングルの小鬼?!
えっと、それはゴブリンでは。
いや、この際深く突っ込むと――わたしの異名も、なまっちろく細い四肢が痩せた狐に似ているからなんて、虚弱体質の比喩めいた虐めの末に名付けられたもんだって、知れてしまうわけで。
そこはスルーしよう。
普通科の方は毎年、多くの生徒が受験しに来る。
就職率も、進学率も高い最難関校としての面目はとれてて。
蒼も。
平均的な成績で入学してきた。
ともだち何人デキるかなあって期待に胸を膨らませてた時期があった。
現実は理想通りに運ばないもんだ。
だから、苦しいんだよなあ。