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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2188/2359

- C 1042話 気になる子が、2 -

 わたしの()()()――。

 目の前には親戚の同い年にあたる男の子らが見えてた。

 みんな、家の当主の座が欲しくて。


 わたしの家は。

 人工島計画が走りだした頃より隆盛を誇った名家。

 嫡流御三卿の筆頭家格・二葉家。

 三葉みつばに、四葉よつばは養子を迎えた後だったんで、直流から外されてて。

 残ったわたしが、()()()()()()()()ならない。


 でも宗家にある、大ババ様とは疎遠過ぎて。

 なんか憎まれてて。

 結局、親戚の男の子たちは。

 わたし個人じゃなく、家を継ぐための条件としか見ていなくて――逃げた。




 怖くて逃げた。



 逃げることは“悪”じゃない。

 名家のお嬢様なのだから、気の身、気のままなんてことはなく。

 大ババ様の計らいもあったんだと思うけど。

 メイドのひとりが今のマンションと、生活費に生活に必要な諸々を手配してくれた。

 最初こそは女の子ふたりの細やかに慎ましい生活が2年。

 わたしが高校に上がると――


 彼女は。

 メイドさんだけど、アルバイト先で知り合った男性と寿退社しやがった。

 わたしという主人を置いてだ。


 家事の合間に、ちょっとだけ様子見に来てたんだけど。

 それも半年くらい前から、ぱたりと止まってる。

 片葉ひとつば宗家に入らないってことで決着ついちゃったんかなあ。



「ようやく大人しく、なってくれたか」

 異装の子からの甘い香り。

 必死に傷の手当てをして。

 こう顔が近いようなきがする。

「あ、ん?! キミ、女の子???」

 思わず思ったことを口走ってた。

 乾いてた口なのに。

「飛沫飛ばさんでも、ゆっくり話してくれていいよ。慌てると、()()、出てくるから」

 中身?

『中にいる人、です』

 人ぢゃねえじゃねえか!!

「え?」


「見えるよ。ファミリアを通して...だが。すげぇー守護天使、な?」

 ああ。

 天使こいつを讃えるな、調子に乗る。

『どうです? やっぱりここにきて良かったでしょ。天使わたしが見えるひとが沢山ですよ!!!』

 いや。

 ここに来たのは治療が目的じゃ?

あおいはどう、お姉さんに報いたら... 刺しちゃいましたし」

 ああ、そうだ、そう、この子がいた。

 メガネをかけた小さな女の子。

 ひとめ見た時から。

 こう、きゅんと。

『それは恋の芽生えですね!!』

 そうだな。

 お前が今、邪魔しなければ、な。

 その気付きを自分で感じてたと思うわ。

あおいは...」


「これも何かの縁だ! 友達から...いや、友達になってよ!! で、さあ~」

 ポーションで手を洗ってる異装の子にも声をかける。

「まだ、天使が飛び出してるのか?」


「ちげーよ! あんたも、さ」

 少し、気まずいが。

「こんな()()()()のは、興味ないんだろ?」

 意地悪な。

「友達、なってくれ」

 異装の子の目はなんとなく優しく笑ってた気がする。

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