表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
天啓がありまして
2183/2359

- C 1037話 ぷろろーぐ -

 夕飯は、チップスに弁当の余り物。

 学校の食堂に忍び込んで、廃棄が決まってた“総菜パン”らを拝借してきたもんで食い繋いで。

 確か、3巡目のダンジョンアタックが終わったのは...午前4時。

 筋肉くらいは付けた方がいいよ?とも言われかねない細腕が伸び。

 見てくれの悪い時計を掴む。

「あ、8時か」

 目覚まし時計としては死んでるけど。

 時を刻む道具としてなら、ゴミ置き場から持ってきたもんの中では、いっとう上等な代物。

「起きなきゃいけないけど」

 かったるいなあ。

 このまま仮病?

 いあ、それは何度も使えないし。

 この間も11回も死んだばあちゃん出したし。

「信じて貰えなくなるからなあ」

 憂鬱。

 早く楽になりたいなあ。



 桜散る、今日この頃。

 陽光が頭頂部のつむじを焼くほど高く上がった頃に登校する。

「やあ、みなさんごきげんよう」

 生徒会・風紀委員長の()()()が。

 重役出勤っぽい登場を決めたところで、教室がぴりっと戦慄したとこ。

『ああは、なりたくないものね』

 他生徒からの耳の痛い陰口が聞こえ。

 担任教諭のチョーク先が、ちょっと震えてたかな?

二葉ふたばさん、席へ!!」


「はいはい、分かってますって。えっと、今日はどこの席が空いてるかなあ?」

 教室といっても、神学科の()()は他の教室のスタイルとは違う。

 長椅子に座ってそれぞれの背もたれに誂えた、収納ラックに神学書が入ってる。

 神学書は価格的に高くはないけど。

 どうも、この学校の伝統のようで。

 買わなくてもいいという点では、わたし的には非常に有難い制度なんだけど。

「ちょ、ここの本がっ。どこにも無いんだけど!!?」

 お嬢様学校のような、清貧と品性を高めなさいと教授する面がこの学校にはある。

 科別にやや、考え方が違うようだけど。


 わたしの神学科には、あった。


「お静かに!!」

 担任教諭の手を止めたのだから、額に皴が寄るのも仕方がない。

「無いなら、どなたかの本を見せて貰いなさい」

 はああ~

 またこんな時代錯誤な虐めか。

 教室ってトコは共通の()を作りたがる。

 きっかけは些細なものだが。

 足並みが揃わないと、多を優先する。

 なんなら多が纏まるための道具にもする――『我慢にも限度があるんだよなあ~』




 そっと、教室を出た。

 入るときは堂々と、抜け出すときはこっそりと。

 今更、わたしが居なくてもあの教室は問題なく歩いてく。


 ああ、友達、欲しかったなあ~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ