- C 1036話 えぴろーぐ -
いつもの変わらない長閑な日常が戻ってきた。
ただし、この数か月で大きく変わったことと言えば、エサちゃんが通ってる奇妙奇天烈な学校に。
まさかボクまで在籍するとは思わなかったことだ。
嘘から始めた学園生活。
魔法科と言っても、さすがに現実的とは来ないけど。
ファミリアのスイッチをONにすると、目の前には広大な七王国時代の世界が広がる。
どこまでも豊かな草原の向こう。
ずぅっと、ずーっと丘むこうへ視線を奔らせると、
光り輝く白亜の城が――かの有名なるキャメロット城。
ボクらの次なる相手は、騎士王とその従騎士たちってとこだろうか。
いやあ、マジかあ。
個人的には円卓の話は、わりと好きだ。
時代的にリアルに切り抜くと。
さすがにファンタジーのベールで包むにはちょっと、殺伐というか。
顔を背けたくなる。
ウーサー・ペンドラゴンは、さる豪族と国境線を巡って戦い――王国から逃亡した敵の居城で妃と見える。戦勝国の王と敗戦国の王妃の遭遇は時代を動かし、歴史も紡ぐ... ウーサー王の嫡子アーサーの誕生である。
くぁー、下種な奴らめ!!!
物語は好きだけどさ。
王妃を置いて逃げた王の居ぬ間にNTRするウーサー。
別の物語では、王妃の夫に魔法で姿を変えて――
やっぱり男の願望を叶えるというNTRものなんだわ。
どっちも可哀そうな王妃イグレインさん。
少し前の小説なら『死に戻ってきた王妃は、傍若無人な男どもに復讐します!!』なんて長文タイトルとテンプレで、胸をすくようなもんになってたと思うわ。さすがに酷過ぎるだろ、この下半身脳の奴らめ!!
ま、魔法学園のAIは。
そのあたりは触れもしないだろうけども。
ブリタニアの統一を目論む悪い王か、或いは、攻略対象の光の王といった扱いかな。
ベタなきがするけど。
なんて思ったりすると。
首筋にチリっと電気が走る。
だから制裁はやめろと、何度言えば。
◇
唐突なのか、或いはシナリオによる出会いなのか。
神学科の生徒会長さまが、ボクら魔法科の講堂へ来られた――眉目秀麗にして、長身、いつか前のボクらの学年にもイケメンな学生がいたけども、彼はカメラ映えのする作られた偶像だった訳だけども。
神学科の会長さんは、絵画の中から出てきたような雰囲気だ。
「ファミリア、どちらでも。(なんか知ってて苦笑したような気がする)わたしを見てくれても構わないが、話だけでも耳はこちらに向けておいてください」
おっと、こいつもモデルなのか?!
「魔法科の皆さんの一部が定員割れを起こしていると、学園長から泣きつかれまして(前髪を巻きながら)。わたしたちがひとつ、ひと肌脱いで差し上げようと...そういう話になりました。魔法科の生徒会とも話がついていますので。(右の指は胸に突き立て、左腕は天を仰ぐよう)一緒に勉学に励むとしましょう!!!」
イケメンによる『よし、俺についてこい』宣言だ。
これ、えぴろーぐの筈なんだが。
なんで、これからだー
じゃないんだよ。
おもいっきり延長線じゃんかよ...