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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2159/2359

- C 1014話 アンダーグラウンド・ゼロ 4 -

 ロリ本人は勢いが余って、付き人に抱えられてたのだけども。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 人工島の地下事情だが。

 実際に建造着手から運用が開始されるまでに、途方もない時間が費やされた。

 と、同時に高騰する資材費や、人命も含まれる。


 完全に投棄されていなブロックが多少、残っていて。

 政府当局からすると、破棄したものとみなしている区域なので。

 当然、市民の保護範囲、適用外である。

 当該地域に地上市民が『冒険だあー!』で突入しても、自業自得とされてしまう。


 表向きは捜索は、されるけども。

 リスクはリスクで処理される――人工島は、宇宙ステーションみたいな過酷な環境と同じなのだ。

 身勝手な行動のせいで、多数の命が脅かされるとすれば。

 市民の保護法がシビアなのも理解できるだろう。



 さて、地下世界は一種のダンジョンである。

 中央区の制御ブロックだけが、安全が確保された地下施設を持つ。

 それ以外の地下は――。

 ビルディング建設時の足場のような関係性で。

 かつては浮袋めいた役割だったり、資材搬入口だったり、あとは食料の生産工場だったりした。

 巨大な鋼鉄製のブロックが横や縦に連結して。

 僅かに配給される“空気”と“食料”で、地上では生活できない社会の弱者があった。


 詳しい調査はされていないけども。

 推計として約3万人との見積もりが、()()()に挙げられてた。

 実際には大きく違ってて。

 約3倍にまで膨れ上がっている。

 働き手は勿論のこと、地上への強い憧れもあってマフィアへの加入率は高く。

 また、死亡率も高い。

 と、同時に種の存続めいた危機感が子供たちの両肩に乗って。


 子供が子供を産む。


 そんなカオスが地下にもあった。

「空気が薄すぎる」

 地下へ入ると、激しい抵抗に遭うものと覚悟していた。

 が、いざ踏み込んでみると。

 無気力な老人たちの棲み処だった。

 いや、瘦せ細っているだけの見た目で、老人っぽいだけ。

 よく見れば欠損部位が目立つ、年若い連中だった。

 栄養が、いあ、生活の改善が期待できる環境であれば、腕や足の欠損が腐る事も無かっただろう。

 辛うじて生存のギリギリなラインにあるのは、最低限の生命活動による。

 あるいは...


 たまに訪れる子供たちが、水やパン屑を喰わせているからか。

『あ...』

 掠れた声が漏れ聞こえた気がした。

 隊員のひとりが不用心にも近づく――「俺にも、寝たきりの兄貴がいるんで...ほ」――腕を伸ばし、痩せた彼に膝をついたところで激しい閃光に飲み込まれた。鼓膜を破る激しい音、酸素マスクのバイザー越しにも見えた白い世界、そして炎。

 薄い空気だから延焼には至らないけど。

 バラバラになった肉塊と、細かく飛び散った骨がバトルユニフォームに突き刺さってた。

 皮手袋で腕の白いつぶつぶを払いのければ、さっと落ちるけども。


 よく訓練された兵士でも動転くらいはする。

 或いは爆心地に僅かに近かった二人目の犠牲者の悲鳴か。

「お、おれのーぉ!!」

 ああ、手首から先がない。

 気が動転したバディは「あいつが、あいつが居ない、どこへ... どこへ?!」なんて探してるし。

「これ、まさか...歯茎、か?」

 手袋に刺さった棘を見て卒倒してた。

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