- C 1013話 アンダーグラウンド・ゼロ 3 -
民営の空港だけど、管轄は自治政府からで。
勝手が過ぎれば“認可”だって取り消される――当初こそは大挙して押し寄せてきた、当局に対して。
“越権行為”だと激しく毒を吐いて見せてたオーナーも。
俺様は、政府の議員にも顔が利くんだぞ的な。
そんな脅しも見られたが、
「緊急時だからと提示し忘れた我らも、態度が良くなかったようだ」
数十もの隊員たちが格納庫へ殺到していったあと。
責任者らしいスーツの男らとオーナーが向き合ってた垣根。
それらをかき分けて、チビでメガネな女の子が現れた。
「聊か礼を欠いた物言いだったな、わたしの顔に免じて...いや。ここは裁判所からの家宅捜索許可状が、有効か。不審あってなら、内容も読んでみるか?」
チビでメガネの女の子。
人工島はじまって以来、選挙が人気投票だと言わしめた議員。
それまでの人工島選挙は本国の地方自治体と大差ない。
政策を論じて、明るい明日を模索してた。
このチビでメガネ。
属性満載の美少女っぽくも見える女性候補が立つまでは。
選挙カーに乗ると、下から見上げる聴衆には見えず。
壇上に上がっても、後列まで声が届かない。
極めつけは、スタッフに肩車されたアットホーム的暖かさ。
有権者は萌えた。
いや、奮えて激しく萌えた。
『俺たちが、このロリを支えてやろう!!』と。
人工島唯一のロリ議員。
それがこの子である。
挑発でもするように、ひらひらと複数枚の書類を提示して見せた。
最初こそは『出るとこ、出るぞ』ほどの勢いはオーナー側にもあった。
まあ、そこは大真面目にも議員との太いパイプがあったのだろう。
ロリ議員が出てくるまでの短い天下だったか。
「じゃあ、遠慮なく。捜索、させて貰うよ?」
身長はそうだなあ、ボクと大差ないというか。
30歳を過ぎてミニマムな体格と言うと...
苦労しかないよなあ。
でも、
あんなナリだけど、彼女は“国防族”議員で。
元士官っていう職歴を持つ。
タスクフォース実現に貢献したと言ったら、見直すレベルのロリだよなあ。
そりゃ人気も高いわな。
◆
格納庫から地下への入り口は、すんなりと見つかる。
民間経営の空港が抜け荷の現場に成る事は多々あって。
方々に賄賂を献上して、摘発されても見逃されてきたわけだ――商売に多少のリスクありというのが、マフィアたちの常套句で。定期的な手入れ後の値上がりがまあ、ソレってことで。市場動向がどうのってのは捌き手次第ってだけの話。
価格だって。
マフィアの指先一つで決まるんだし。
金持ちの坊や嬢ちゃんが通う学校で卸せるってんなら。
市場価格のそれこそ5倍、10倍だってありえるかもだ。
「隠し通路でもなければ、隠す気もねえと来る。どんだけ恥知らずかねえ、連中は」
ロリ議員が開錠させた扉を、安全靴の底で蹴り上げてた。
その怒り、凄まじく。
靴跡が残ってたという。