- C 1003話 タスクフォース 3 -
ベースであった“恩寵”も、弱いながらに依存性のある効能が確認された。
定期的に摂取することで、リラックスさせたり、幸せな気分に浸ったりする。
これらの効能には個人差があった。
が、毒性が強められた方では、幻覚作用も強く出ている。
もう立派な合成麻薬なのだ。
開発者の意図も台無しにされて。
「MPドリンクと大差ないから、元からカフェインが入ってるんだよね。で、これを抜いちゃうと...MP切れしてる人たちは激しい眠気に襲われてるんで、先ず何の為の薬なのかってトコが無くなる訳で。カフェインはベースから外せません!!」
そ。
カフェインが入ってる。
これを盛っていったら、カフェイン中毒まっしぐらになる。
ダンジョンで使用するために開発されたから、元からカフェインの占める率は高めだ。
服用頻度によっては身体も壊れるし、勝手に幻覚も見るかも知れない。
「では、巷で出回ってるキャンディは?」
「いえ。そこは断言できますね!! “恩寵”だと思って買ってるかもしれない補導された子たちが持ってたのは、間違いなく検疫で引っかかる違法薬物です。人工島の中で作られたならば、もう少し潮気があるような気がするんですが」
国外から持ち込まれたとしても、ルートが絞れない。
売ってるのは地元のマフィアかギャングであることは間違いない。
「あ、そうだ!! 傭兵から符丁が入ってましたよ?」
麻薬取締局のラボに務めるメガネっ子と、捜査官の他愛のない会話。
この符丁が秘密会合の場所と時間を伝えるものなんだけど。
内容まではエージェントのみが知る。
「お前みたいなガキっぽいのが首を突っ込むなよ?!」
メガネっ子は。
ボクと大差ない雰囲気があって親近感が湧くというか。
未来の、かな。
◆
周囲の数ブロック先までが見渡せる波止場に車列を敷く。
ボクと、兵士は10名を少し超えるくらいで。
以前から潜り込んでた傭兵たちをあらかたかき集めたような状況だ――これは、車中にエサちゃんを残してあるからで。
彼女の身をもって護る警護に2人、車載機関銃の射手にひとり付けたからだ。
物々しくなった感じ。
上空には完全武装の無人攻撃機を2機ほど、飛ばしてある。
対地ロケット弾とか、空対空ミサイルあたりだ。
人が乗らないだけでも大きさは、陸上攻撃機と大差なく。
洋上にある潜水艦から随時、必要以上の~ まあ、ボクから見ても過剰な戦力が投入可能だ。
これ、ちらちら人工島自衛隊のレーダーに映ってる筈なんで。
誰が怒られて...くれるんだろうねえ~