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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2138/2364

- C 993話 茶会イベント 2 -

「愚弟が申し訳ない事をした」

 保健室に運ばれてたボク。

 病床の上で、意識が飛んでたボクに謝る王太子。

 保健室は、まあ。

 教会のような雰囲気で――修道女めいた看護師と、司教のような雰囲気の医師が働いている。

 ファミリアを通して見ていると。

 学校の施設の何もかもが中世欧州のような雰囲気に見える。

 えっと、この教会は...。


 たぶん、9世紀の英国。

 村か街かいずれかに建立された、石造り、藁ぶき屋根の貧しい“神の家”といったところか。

 7王国時代の建築物は、デーン人の襲来によって度々、壊されて燃やされているので。

 あちこちに教会の残骸めいたものが放逐されてた。

 瓦葺みたいに金を賭けても。

 2,3年で舞い戻ってきた蛮族に壊されるんで...


 っと、話がズレた。

 意識が飛んで目を腫らせた、ボクに対して紳士であろうとする王太子の実直さは。

 地雷王子と対比されて右肩上がりに株が上がる。

 ぎゅんぎゅぎゅ~ん...

 そんな擬音が聞こえてきそうな、好感度の上がり方は異常なのだけどね。

 だってこれ、自作自演めいてるじゃん。



 素行の怪しい弟が、不良どもと共に。

 女の子を虐めているところへ、たまたま通りかかった聖人君主然のような兄貴が助ける。

 おっと、マッチポンプ。

 兄弟で画策したようなもんだわ。

「そこで仕切り直しなのだけどね」

 甘い声音で、ボクを誘う。

 外務大臣の令息は、長男の方の人気は入学初日から凄かった。

 今、聖女主催の茶会だって。

 その誘いなのだけども。

 保健室の病床に転がっている怪我人から、ボクに向けられた視線が痛い。


 意識が無くてもそれくらいは、もうひとりのボクがちゃんとわかってた。

「聖女“マーガレット”がキミと...」

 彼女の名が耳に入って来て。

 惚けた()()が思わず解けそうになった。

 上の空で、わざとヨダレを垂らす。

 アホを演じるのは、ひと苦労だ。

「うむ」

 深い溜息が王太子から漏れた。

 付き添いの従者ハナ姉から、

「もう少し時間を頂けませんか? お嬢さまも女の子ですから、その」

 精神的ダメージが大きいと伝えた。

 王太子の手を齧った野生児と、バストの無さに悩む繊細な女の子。

 このギャップに少し戸惑いながら。

「分かった、後日、招待状という形で主人に届くよう手配しよう」

 そうしてその場は終息する。



 保健室から引き取られたボクは、エサちゃんが『前線基地』だと住み着いた、ボクの個室へ。

 男装寮でもあるし、手の早い先輩方も多い。

 ボクなんか入寮初日に胸を揉まれたし。

 股間を撫でられ匂いも嗅がれた。

 尻は直接だし。

 変態しかいない。

「――で、ちょっと背中を押してもらっただけで、他人の手を噛むなんて。どんな、野生児なのかな?」

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