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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
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- C 992話 茶会イベント 1 -

 茶会へのお誘いというのは突然に発生するイベントのようだ。

 ボクから見ると。

 ボクが主人公の純真無垢な少女で、...っ、異装の少年のような女の子ですけど。

 攻略対象の4人と絆を紡いでいくように。

 まあ、見えるように作られているようで。


 その。

 ステータス画面に好感度という項目がある。

 これは全校生徒が主人公なので、全員が、誰某だれそれにどれだけ好感度を持っているか数値で見れるわけで。

 勿論、エサちゃんとは相思相愛。

 揺るがないどころか。

 「8」が横に倒れて見える。

 切り離す事叶わず、か。

 一蓮托生。

 旅は道ずれ。

 極上の愛は永久とわに。


「で、茶会だが?」

 おっと忘れてた。

 つい別の世界に飛んじゃって。

 誘いの手を見て、唐突に齧ってたボク。

 なんで齧ったのか。


 いあ、誰かに押されたんだ、わ。

 こう、背中と肘が当たったという――突き飛ばされたような。

 そんでフラグが立ったって。

 アレだ。

 思わず自己防衛で...



「俺に齧りついたって事か?! 弟の手じゃなく、兄の俺にか!!!」

 い、あ。

 これにエサちゃんの噂が関与していないとは、確かに言い切れない。

 えっと。

 王太子こいつがキライでした。

 立ち振る舞いと、佇まいは間違いなくイケメンだ。

 他の娘のステータスを覗く限り。

 王太子への好感度は“憧れ”で埋め尽くされている。


 しかも分かってて、髪を弄る癖がある。

 見ていてイラっとくる仕草だ。

「えー、っと。もっと齧りますね!!」

 血が出るんじゃないかってくらい噛みついた。

 地雷王子とふたりでボクを引き剥がす。

 まあ、その際にだが。

 地雷王子にボク、おっぱい揉まれました。

「セクハラ―!!」

 叫んでたね。

 ボクの場合は、えっと噛みハラ?

「ちょ、ちがっ!」

 いあ。

 地雷王子こと“オリバー・オスナージュ”は、ボクの()()()から手を放すと。

「セーフだ、セーフ。膨らみは無かったし、揉んでもいない。このくらいの年頃の女子は、ほら...ミニマムな子でもわりとあ、あ、あるって噺だろ?! だからセーフ、背中みたいに()()だったからさ。セーフ」

 糞ぅー。

 そこまで平たいアピールしなくたっていいじゃんか。


 たぶん、ボクは大声で泣いたんだと思う。

 記憶に残らないくらい。

 そして、普段は蔑視してた女子生徒たちが、ボクを保護してくれた。

 彼は学園中の女子を敵に回した。


 それは――。

 聖女も。

「だから兄貴に噛みついた、あの乱暴な野生児の身柄を押さえつけただけで。な、兄貴だって... 腹に腕を回してこう、小さな体に巻き付いただけだって援護射撃してくれよ!!」

 兄が援護したところで、オリバーの株は下がり続けるだろう。

 いや、標的が兄に向きかねないので。

 傷は最小限に押しとどめる方が得策だ。

「マジで言ってるんなら、オリバー君のネジ。どこへ落としてきたのかって疑いたくなるんだけど、今、キミはね女子生徒から“女の敵”なわけよ? 誰が援護するって、そんなの共倒れになるだけ。あんたはさ、新しい顧客を開拓すればいい楽な仕事、与えておいたよね?」

 宰相令嬢“グレイシー・ケッツハット”の甘い声音。

 聖女に劣らず清楚な雰囲気だが、中身は男の子だ。

 女装が趣味で助かってるとこだが。

「愚弟が済まない」

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