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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2133/2360

- C 988話 キャンディと魔女、5 -

 まあ、本来ならば。

 いやストーリー上で、()()だった筈。

 ロールプレイングを楽しめれば、だ。


 聖女を貶める行為が赦されている。

 合法的に。

 寮長だって、(恋愛パートの)攻略組でかつ、難攻不落な“グレイシー・ケッツハット”宰相令嬢を陥落させた。作中――学園の共有スペースに薄い本のコーナーがあって、“小説をだそう”って場なんだけどね――公式公認の“王立学園物語”に収録されてる、『覇王と令嬢』って作品。

 鉄面皮だった宰相令嬢を口説き落とした、覇王の偉業が書かれてる。

 事実、寮長は1年生からずっと口説いてた。

 聖女が入れる隙が無いうちから、もうずっと...


 3年生になって、遂に篭絡に成功する。

 卒業間近になって覇王の隣には、“グレイシー・ケッツハット”嬢があるそうだ。

西塔サチュルヌに引っ越したっていう女生徒って...」

 “支配”の塔の別名で、王冠を紋章に掲げる寮のこと。

 エサちゃんの同学年だと、宰相令嬢ロールを()()()()()()が演じてるんだけど。

 あれはあれで。

 ボクは好物かなあ。


 も、もちろん、観賞用として、だよ。

 い、あ、、、、 き、きのこには興味、、、、ないって。


「そ。寮長の彼女さんで、落とし文句こそサイコパスだけど婚約までOKさせちゃったんだって。いや、製薬会社の御曹司は行動力も凄いね!!」

 だって。

 いやいや。

 八ツ橋家も大概ですよ、ボクから言わせたら。



 ボクは学園内で唯一の味方がある、魔法薬科へ転がり込む。

 ソロで動くときは女生徒然としてあることが多く。

 短いスカートに、フリルが首を圧迫する上衣に悩まされながら。

「あっれ?! 珍しい。そのスカートの下はナマかな???」

 “調和”寮に在籍する3年生。

 ギルドライブを見て、それでも司馬丸恵を応援してた“変人”だが。

 この制服を勧めた()でもある。

「流石にスースーするんで、スパッツ履かせて貰ってるけど。それでも、ズボンじゃないのは、()()()にもストレス溜まりそうです」

 ボクは、ヒラヒラがキライだ。

 だって何履いてたって、スカート無かったらケツ(ライン)丸出しの痴女じゃんよ。


 あかん、あかん。


 落ち着かない。

「まあ、どれ?」

 スカート端を捲って、スパッツを覗き見る先輩。

「透けてないし、割れ目も出てないからセーフだね!!」

 っ、じゃないでしょ。

「や、ごめーん。マルちゃん貌、こわーい」

 くぅー。

 この先輩、VRの中でのエサちゃんみたいなんだよなあ。

 人懐っこいし、憎めない性格だし。

「――で、その恰好で中立ここに来た理由を聞こうか?」

 そして仕事モードに入った時のギャップは萌える。






麻薬これの出処が知りたいです」

 キャンディのサンプルを渡した。

 魔法薬科が創った可能性は十分にあるけど。

 顧問も含めて、お世話になったから。

 ボクは心の底から信じていいと、そう、感じたわけで――。

「ふふん、そっか。魔法薬科わたしたちが創ったかもとは... 失敬。ソレ込みでも信じてくれたわけだね、いいよ。いいよ、だからマルちゃんは貌が怖いって」

 先輩が先輩あねの貌で、髪の毛をぐしゃぐしゃに掻き乱していく。

 鼻をぐずつかせながら、

「ここはお姉ちゃんとして後輩いもうとの世話、焼いちゃおうかなあ。成分なんかは、八ツ橋んとこで調べてるんでしょ? ああ、エリザちゃんと水差しが一緒なのは知ってるから、魔法薬科あたしらは過去の事例で“魔女狩り”の手伝いをする、さ」



 後日。

 魔法薬科からハトが来る。

 暗号めいた短い文章で――“恩寵ゲファレン”が再び――。

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