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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2132/2359

- C 987話 キャンディと魔女、4 -

 学校に戻ってみると、いつもと変わらない風景がそこにあって。

 流石に出会い頭に石が投げられることは、無かったけども。

 これを()()()()と言うのには無理がある。

 まあ、この謎の敵視ってのは直ぐに露見して。


「とうとう、エリザさんまで本当に()()()()()()()()に目覚めちゃいましたね! おめでとう」

 だって。

 “支配”の塔を統括し、寮長まで引き受けちゃってる奇特な方。

 4年生の侯爵令息さまである。

 えっと、たしか...

『“エオメル”。マーシア王国の開祖の父って設定でね』

 耳の傍でボクに解説してたエサちゃんに。

「よくご存じだね、エリザ嬢」

 と、寮長は感激してた。

 とは言うのも、ブリテンの七王国時代ってのはストーリー的には面白い。

 アーサー王と円卓の騎士にも通じる世界観だし。

 赤く燃える流れ星を見て、ドラゴンを想像してしまったロマンティストが居たってんだし。


 ボクは好きなんだよなあ、こういう歴史もの。

 おっと。

 でもね、マーシア王国はノルウェーやデンマークから来た、大異教徒の軍団に飲み込まれていく運命で――その過程から、ウェセックス王国の偉大なるアルフレッド大王が、イングランドをひとつに纏めていくんだわ。

 だから、あまり多くの資料が残ってない。

 いあ、現地の学術機関や資料館へ行けば、もっと詳しく調べられると思うけど。

 このガジェット汚染された、私立学校と。

 七王国のマーシアとは関係ない様に思えてならないんだけども。

「おお! なかなかに鋭い子だな。飴ちゃんを挙げよう」

 寮長がボクを子ども扱いしてくる。

 まあ、いいけど。



 寮長いわく。

 これは“支配”の塔という寮に伝わる、噂話の一つ。

 ちょっと学校七不思議に掛けてるみたいなことを付け加えてて。

「七王国は演出上の舞台装置でしかない。けれども、学校の目指しているのは“世界の理”に干渉できる力の発掘だって話だ。まるで御伽噺のようなふわっとした理由だろ?」

 いや、そうでもないか。

 素数で組まれた堅牢な扉に物理的な攻撃は無意味だけど。

 ファミリアのようなガジェットで、創造性という世界から干渉したら?

 或いは、堅牢な扉も城壁も城塞だって平面に書かれた、ただの餅に成り下がるんじゃないか。


 なんて不謹慎にも真面目に考えてしまったけども。

 悪役なんとかのプレイヤーが集う“支配”の塔に向けられた剥き出しの敵意は、警察を非合法なパーティーに誘い込んだのが、八ツ橋の家の者だってバレたからだっていう。これはお爺ちゃんが危惧してた心配事の一つ。

 エサちゃんは、

「このロールを選択した時から、唾を吐かれてるようなもの。今更、気に掛けるほど心はか細くはなくてよ? ま、これで面白くなったとも言えなくもないかな」

 今までが張り合いが無かったと、彼女は言う。

 まさか。




 教室へ行ったら――

 エサちゃんの机の上に白い花が。

 あからさまな虐めが始まった。


 ちょっと待って。

 悪役令嬢を虐めるシーンなんてあった?

「やだ、これ新鮮!!」

 柏手打って、

 ()()()()()なエサちゃんが楽しそうだ。

 周囲が忌避する中で、はしゃぐエサちゃんの温度差が怖い。

「ねえ、これ。どなたのセンスですの」

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