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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2131/2362

- C 986話 キャンディと魔女、3 -

 エサちゃんが持ち帰った“麻薬キャンディ”は、そのまま八ツ橋の研究室へ。

 さて、場所は変わって――畳が一面に敷かれた道場へ。

 日本庭園と西洋ガーデン風味の不気味な敷地から、わずかにしか動いていなところに道場が。

 宗家守護・八葉さんや、四ツ橋の警備員らが汗を流してる場所だ。


 だが、換気されてて爽やかで。

 いぐさの香りが鼻をくすぐっていく感じ。

「――さて。うちの婿マルと立ち合いたい愚か者はいるか?!」

 はいぃ?!

 隣に正座してるエサちゃんが、だ。

 ボクのブラ紐を摘まみながらいじってくる。

 いや、それは動じなければ問題なくやり過ごせるけど。

 十蔵さん、今、なんて言いました?

「なんだ? おらんのか」

 情けないって煽った挙句。

婿マルを倒せたならば、ボーナスを考えよう!!」

 だ、か、ら~ 煽らないで!!!!



 じゃあって人は現れなかったけど。

 模擬演習みたいな組手は披露せざる得なかった。

 八葉から普段はボディガードとして立ちまわる者たちが選ばれ――「大尉キャプテン、お願いします」なんてコードで呼ばれたわけで。うちの組織、表ではそんなに有名じゃないんだけどなあ。

 見学の座には、八ツ橋の親類縁者の皆々さまがただ。

 すっごい怖い顔をして睨んでて。

 お前の実力、解くと見させてもらおうって雰囲気だった。

 そうじゃなかったとしても、吐きそうだし、家に帰りたい。

「じゃ、始めてくれ」

 掛け声のシンプルさ。

 煽ったお爺ちゃんも、このまま、はい解散なんてしたくなかったんだ。


 サシの対面組手じゃなくて、多数に囲まれた際の逃走模擬。

 演目としても面白いし。

 大人と中学生ほどの体格差だと、素早く懐に潜り込み、他者の視界から一瞬でもいい。

 消えることに注意すべきだ。

 これには素早さは必要ないし、予備動作も。

 ただ単に潜り込んで足を払う。


 まずはひとり目。

 包囲網の外に出れば、狙いやすい敵を各個撃破する。

 サシの対決へ。

 外野からは『そっちだ』とか『あっちだ!』、『よく狙って叩き伏せろ!!!』とか。

 熱の籠った殺気めいた野次が聞こえたけど。

 これはあくまでも訓練だ。

 畳に転がし終えたところで演目も終了し。

 ご家族から『この借りは必ず返す』という脅迫が。

「みっともない連中だ。お前たちは、未だ、儂の選んだ婿が気に食わないとみえる。いいか、この子はなエリザを守り切れるだけの胆力と知識がある。家のことは孫娘に任せられるが、こと難局に陥った時の判断は、マルになら大丈夫と思っているのだ!!」

 恫喝。

 くすぐったいほどの評価だけど。

 相続するのは財力や不動産だけではない、エサちゃんは権力も手に入れる。

 すぐに十蔵お爺ちゃんがどうかなる訳じゃないけど。


 学校の敷地内に警察が踏み込んでくることがあった訳だし。

 その手配が八ツ橋によるものだと知れれば、売人たちは必ず報復に出るだろう。

 砂生さんからすれば、

「なら、エルザは休学に」


「なにを戯けたことを。1年、2年、もしくは転入か? それで解決する筈がないだろ。裏の世界にはあちらのローカルルールが存在する。エリザは一生、家から出られなくなるぞ」

 まあ、それでもなんて砂生さんは、応えてはいたけども。

 最後はエサちゃんの悲しそうな貌で折れたようだ。

 その際のボクへの睨みはキツかった。

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