表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2127/2364

- C 982話 魔女の宴へご招待 2 -

 主催者は常に隠れ蓑にされてきた。

 この宴の支配者によってだ。

 はじめての客には“飴玉”はお試しで用意されている。

 ひとり、ひとつづつ。

 カップルならふたつ用意されて、舐めるまで監視がつく。

 キャンディの効果は絶大だった。


 意識がはっきりしている錯覚を見せる。

 バトルジャンキー状態と同じ結果をファミリアに伝え、舐めてる本人には体温の急上昇が伝わる。

 高鳴る心音。

 汗ばむ肌。

 乾く喉。

 この場の雰囲気に呑まれたんだと思わせて。

 アルコールが少量のジュースを求める訳だ。

 ちょっと羽目を外した程度に思わせて――下着姿で裸踊りさせるクスリ。



 冷静沈着のエサちゃんは、ボクの口から飴玉だけを抜き取ると。

 陰になった柱に吐き捨てた。

 麻薬キャンディに侵されたボクの唾液を懸命に吸い出してくれる。

「ちょっと、ミイラ取りがミイラになるの早すぎ!!! しっかりしてよ、大尉キャプテン

 おっと。

 そのコールを何処で知ったですか。

「お爺ちゃんから話聞いてるから、お仕事モード終わらせて。はやく、いつものマルちゃんをわたしに返してよね。素が一緒でも照れ方や、恥ずかしがり方が少し違うだけで気になるんだから、ね!」

 あ、はい。

 すみません、別人格で。



 司馬丸恵はふたり居る。

 厳密には“お仕事モード”と“普段モード”って呼ばれる人格がふたつ。

 例のぴーがーがががーぴ、ぴ、がーってファックスみたいな電子音の()()がトリガーになってる。

 切り替わるための準備が知らされ。

 鏡の前に立てば、あちら側にもうひとりのボクが見えるようになる。

 文字通り、虚像がふたつ鏡に映ってるわけ。

 二重人格の表現法だけど。

 エサちゃんが相手だと、どうも勝手が違うらしい。

 甘噛みされた時の身の捩り方や、逃げ方とか、逆上せるまでの所作とか。

 むー。

 今のボクはまったく、耐性が無いんだという。


 エサちゃん曰く。

「エッチなこと妄想してる男子を見てるみたい!! 甘噛みしただけで逝かないでよ」

 だって。

 いあ、それは指が。

「それで、その...目的を知ってるというのでしたら? その」

 飴玉は口の中から取られたし。

 もう棄てられたから、何処に落ちてるかなんて。

 地下の妖しさを出すために照明はもともと暗い。

 まあ、実際に地下だし。

 汚水の臭いも少し混じる。

 そんで我に返ると、少し寒いってんだから.......

「これ、腰に来ますね」


「そんなジジ、ババみたいな話。う~ん、いあ、確かにおしっこ行きたくなるかも。みんな気にせず垂れ流してるみたいだし、麻薬キャンディって怖いね」

 今更。

「でも、わたし舐めてないし。これを手土産にすれば宴の摘発も容易じゃない??」

 そう簡単には。

 主催者側が演出として()()()()()()と主張されると、製造元には届かなくなる気がする。自治政府からも、この件で依頼オーダーを受けているから。

 当局にはもう少し確実な情報を掴ませたい。

「それはそれとして」

 再び口吸いされて。

 鼻頭を指ではじかれた――痛いです、エサちゃん。

「それ、その反応。わたしのマルちゃんじゃない!! ほら、泣きついて」

 いあ。

 今、ボクの奥でもうひとりが“激しく”否定しているんですが?

「人探しでしたよね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ