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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
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- C 980話 魔女の宴に呼ばれるまでの日々 10 -

「ほら、目当ての招待状。魔女むこうから来たよ?」

 エサちゃんが耳元で甘く囁く。

 尻の割れ目、乗馬用ズボンの縫い目に沿って指が這う中。

 ボクらふたりの下へ黒衣のローブが現れる。


 いかにも神秘的で、魔法使いっぽく。

 しゅるるって影が尖塔状に浮かび上がると、人が出てきたんだ。

 ファミリアをOFFにしたら、どういう。

「それ、ONにしたままで。折角の演出で、手品のタネを見るのはマナー違反だよ?」

 流石に。

 エサちゃんでも静かに怒る。

 ああ、これが怖いんだ。

 這ってた指が菊の門に刺さった感じがして。

 苦悶の貌へ。


 ボク、他人にはどう見えてるの?



 黒い封書に獣の匂いが残る蝋印がある。

 ヨーロッパの雰囲気があるからか、手紙ひとつとっても。

「さて、ファミリアをOFFにしても封書と封蝋は変わらず。これが件の“魔女エーヴィヒダァーヘクセ”への招待状だとして。凝り性もここに極まれりじゃないかな?」

 更衣室に残った、ボクとエサちゃん。

 というか外から鍵を掛けられ、出られなくなった。

 可愛い苛めだろう。

「そう? 噂の絶えない宴のようだけど」

 男女が一糸まとわず、まぐわい倒すとかなんとか。

 とくに噂好きの女子寮から聞いた囀りだが。

 真実も半々として考えるなら。

 参加者の気恥ずかしさが、噂にして噴出してるとも言えた。

「まさか?」


「出てない、出たことない。わたしはマルちゃんの柔らかいところが好みで、最後まで齧りつきたいのをぐっと堪えてるんだから。わたしの純愛を疑わないでほしいなあ」

 ふたりして下着同士なのも忘れるほどの熱量。

 な、なんか...

 こ、この、この部屋、暑くない、ですか?!!

 目が回る。

 女の子の匂いがする~


 そりゃそうだ。

 ここ更衣室だし。

 ボクはぐるんって目が回って気絶したっぽい。



 “魔女の宴”と呼ばれて久しい秘密の舞踏会だけど。

 仮面と黒衣のローブに、麻地のワンピースを着る地味な催し物である。

 10年や、20年前までなら。

 豪奢で贅が尽くされた仮面舞踏会だったらしいんだけど。

 アンダーグラウンドに潜らざる得ない理由が出来てからは、死霊ダンジョンの名所・墓地から地下へ。

「うっわ?! ゾンビがうじゃうじゃ居る!!」

 ボクが柄に手を掛けたところで、エサちゃんから後頭部がはたかれた。

 ぱすんって乾いた音だったけど。

 目が上下に動いて気持ち悪くなる。

「それ、演者だから。コスプレイヤー、雰囲気を楽しんで自治会が率先してるの」

 ほう。

 では、この真夜中では、その?

「ゾンビは夜に出ると、精神衛生上良くないってことになってて... 昼ゾンビと、夕方ゾンビの2パターンしか放たれないの。早朝と深夜はこうやって有志の方々が、怖がる女の子のおっぱいを揉みに来るんだよ!!」

 で、犠牲になったのがボクなんだが。

 エサちゃんはボクを差し出しながら、地下へ。

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