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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2123/2359

- C 978話 魔女の宴に呼ばれるまでの日々 8 -

 ボクと三つ首ドラゴンの対峙まで回ってた。

『――まあ、色々面白いものは見させてもらった。尾の横薙ぎの意図を汲み、伏せて回避する。見事だよ、ちんちくりん......アレが無ければ、あのパーティひとつから幾ほどの()()()がこちらに流れてたか分からんかったかもなあ?』

 やっぱり、こいつらも。

 閉じ込められた環境のボスたちが持つ大量の経験値が気になった。

 役小角えんの・バンビ教諭は、友人のコジュっていう同僚から、モンスターの都合を付けて貰っている。

 ダンジョン特有の、領域内であれば一定時間で復活する。

 これがあっても貰える経験値に差があるという。

 この差が気になった。

 初見殺しのダンジョンなら。


 考えて、ぞっとした記憶。

『おしっこか? まいったな、ここにトイレはないぞ』

 ドラゴンの冗談かな。

 それとも身震いでも見られた。

『ま、それはそれだが... お前さんの挑戦権は失効しているから、それを告げておこう。故に、そうだなあ......うむ。我に拝謁した褒美として参加賞、そうだ、参加賞をくれてやるのだ!! また次に同じことを2回ほどしたら、異例だが大きなヌイグルミに取り替えてやるから、ちゃんとアイテムボックスに入れておくのだぞ!!』

 暫くすると、まばゆい光に呑まれたボクは、塔の外へ強制送還された。

 100層ダンジョンへの立ち入り禁止10日っていう、処分のペナルティも受けて。



 で、だ。

 中継が終わった後はもう。

 全校生徒というか、“調和”の寮生から物を投げつけられる痛いイベントに遭遇。

 PvPは誰に挑んでもいい事になってるけど。

 それは専用フィールドだけの話だ。

 今まさにボクはすべてを敵に回したとこ。


 いや。


 すべてじゃない。

 エサちゃんだけがボクを優しく迎えてくれたんだ。

 彼女が在籍する“支配”の寮で。

「これ、参加賞だって」

 モンスターではなく、ドラゴンのぬいぐるみ。

 手のひらサイズで威厳は無いけど愛嬌はある三つ首竜のだ。

「ありがとう」

 貰ってもいいよねって聞かれた。

 彼女にはドラゴンをプレゼントする予定だったから。


「おやおや、とんだ手癖の悪い転入生さまだな?」

 寮長の四年生せんぱい

 “支配”の塔なんて言われてるけど、悪役令息とか令嬢しか居ない、()()()()()が集まった自己中な気風。

 その寮長がボクをエサちゃんから引き剥がすと、

「見事だったぞ!! 流石は期待の新星だ。“調和”だけではないが、聖女クランの奴らは鼻持ちならなくてな。久々にスカッとさせて貰った」

 ぎゅっとハグされて。

 苦しさの余り気を失いかけた。

「いあ、すまんすまん、つい」

 エサちゃんの腕の中にもどされて。

 これでボクもデビューしたわけだ、悪役のロールプレイングに。

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