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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2120/2361

- C 977.5話 ギルド中継、白熱の暴挙を目撃 1 -

 王子ふたりの制止も空しく、聖女をこの場から一発退場させた。

 聖女以外に蘇生魔法リザレクションを掛けられる者はいないし、欠損部位の再生や広範囲回復魔法なんて高度な陣地形勢だって、プロの魔法使いでも難しいこと。それらのすべてが聖女ひとりに背負わされてたわけで――要するに何人もの()()治癒士ヒーラーがあっても、だ。

 継戦力の要は聖女なのだということ。

 今、その最重要ポジションを狙撃し終えたのが、ボクで。


 高らかに嗤うドラゴンが真横にある。

 ()にしてみれば前代未聞の“()()()()”であろう。


 ボクひとり vs 聖女を失ったクラン19人の睨み合い。

 この間に蘇生魔法が使えないけど、どうにか復活させられないかであの手、この手を使ってた治癒士と、アイテム士があって。それでも柘榴のように後頭部が弾け飛んだ、聖女の生命線“20秒”が空しく過ぎて、彼女はダンジョンのルールに従って塔外へと放り出されてた。

 で。

 聖女かのじょは気付くのである。

 これらの暴挙とも蛮行とも言える行動が、冒険者ギルドによって生中継されてたことに。

 まあ、前代未聞の出来事は続く。



 聖女を失ったクランと、パールライス子爵とのPvP。

 ルール上、私闘なり決闘がある以上は、どのシーンでもプレイヤーを狩る事が出来る。

 例えば、ダンジョン内で見知らぬパーティにモンスターのTGTタゲを擦り付ける行為“MPK”も。

 ただし行為自体はマナー違反であることは、しっかりと明記しておく。

 さて、ボクはボクの行動が中継されてるとは思ってもみなかった。

 そんな気配があっても。

 たぶん、ジャイアントキリングだって言って、このクランに限らず...

 ドラゴン欲しさにちょっかいは出してたと思う。

「先ずは、ひとつ!!」

 これは聖女のこと。

 タンクの王子ふたりはブチ切れてるけど、無視。

 次に狙うのは。


 挑発スキルを弾き返して、

 瞬歩と、緊急回避でシーフやスカウトからの投擲をすり抜け。

「治癒士を護らないとっ」

 アドバイスはする。

 たぶん必要はないかもな、連携の取れた熟練のパーティだけど。

 聖女を失ったことで頭に血が上り過ぎている。

 ボクがモンスターなら...。


 不意に三つ首のドラゴンに気配を移す。

 彼は、腕を組んで静観している様子で。

 なんか微笑まれたような気がした。

《ああ、ボクの狙い目が分かってるんだ、このトカゲは》

 癇には障らないけど。

 やや複雑だなっと。

 小銃から銃声が二発――妖術師が張り巡らせてた、幾重もの魔法盾を突き抜けて。

 治癒士のふたりが絶命。

 妖術師も肩や胸に酷い銃創を負って重傷となる。

「なんなんだ、その、その武器は!!!」

 侍の青年が抜刀とともに斬りかかってきた。

 魔法小銃マジックステッキには銃剣仕様もある。

 約1.5メートル以上の銃身と、約4kgからなる総重量のフリントロック式が一般的に、マスケットと呼ばれる火砲である。

 ごくごく一般的に、だ。

 ボクが召喚したものは“マジックステッキ”と呼称された、魔法を弾丸として装填して放つ武器。

 ファミリアをOFFにすれば。

 掃除用具の中で立て掛けてある“竹箒”そのものなんだけど。

 これも通販で買った特注品であるのだ。


 “竹箒”が?

 ふん、OFFにしなければ意匠も立派な小銃なのだよ。

 空しくなるからOFFにしないで欲しい。

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