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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2118/2361

- C 976話 魔女の宴に呼ばれるまでの日々 6 -

 校内新聞を賑わす、春の大祭。

 もちろん、その主役はパールライス子爵が末子のマル――つまり、ボクのコトだ。

 学年トップの成績を誇る高嶺の花・ルージリー公爵令嬢。

 八ツ橋エリザベートが、ロールプレイングの苗字であるんだけど。


 マーシア王国、

 タムワース王立上級学園という学校名に掛かった爵号が配られている。

 学園の中で名乗るにしては厳かというか。


 ちょっと聞き覚えがある言葉だ。

 ブリテン島にあった、七王国の中央にくだんの“マーシア王国”があった。

 タムワースは、同王国の王都だった地になる。

 ファミリアを通して見える、校舎外。

 冒険者ギルドが置かれてある納屋、再現された道具屋や防具・武具屋などの物置小屋などの雰囲気は、どことなく10世紀以前にも感じられる。ただし、ロールプレイングの王太子やエサちゃんのドレス、ボクの異装なんかは... ふむ。たぶん、12世紀以降だと思う。

 10世紀前後にテーブルマナーは存在しない。

 手食文化のド真ん中で。

 油汚れなんか気にせず掴んで口に放りこんで、指先を幅広の襟元で拭ってた。

 故に、そこは()()()テカテカだったっていう。


 ばっちい、話だ。

 おっと話がズレたか?



 本夜祭が始まるまで3日間は、拡張現実で並べられる()()()を味わうのではなく。

 学園を挙げて“大祭”が行われる。

 迷惑な7日間である。

 人里離れてても、人工島。

 自衛隊の演習っかって見間違われるような、火薬の使いっぷりである。

《どんぱち煩いんだよなあ》

 ボクは、自分の部屋にある。

 前夜祭の毒気に当てられ。

 いあ、聖女の差し向けてきた魔術によって、お腹の調子がひじょうに宜しくない。


 糞、嫌がらせにも限度が。


 ぎゃ!!?

 また、ぎゅりゅっときた。

 ハナちゃんを突き飛ばしてトイレに駆け込む。

 今まさに、扉の向こうで「私が先で~」と、彼女の戦死が叫ばれてて。

《っ、ごめんね。ハナちゃん、キミの献身に感謝する》

 バカな芝居だと思う。

 いい大人のハナちゃんは漏らした後始末してるし。

 ボクはトイレから出られない。

「あー、もう!! 糞がぁー!!!!」


◆◇◆


 一方、親指の爪を甘噛みする聖女の姿が、部室にあった。

「あの転入生、マジ、目立ち過ぎじゃない?! なにもんよ」

 本気で噛むと、深爪で痛い思いを1年前に悟ったので、甘噛みに留めている少女だ。

 彼女はまあ、所謂~。

 思い通りに事が運ばないと癇癪を起す、病気持ちの子である。

 えっと、精神疾患のひとつらしい。


 挫折の無い人生なんて。

 ありはしないんだけどね。

「ここに調査結果が!」

 王太子の従者が聖女に薄いファイルを渡す。

「俺の従者を?!」


「抑えろ、従者の一人くらい彼女に差し出せ!! 俺たちの平和の為だ」

 アルベルト・バッテントレルが、王太子シャルルを宥めてる。

 シャルル・オスナージュは、オリバー。

 ボクが堕としてしまった地雷王子の兄であり、双子の片割れでもあった。

 性格的にはちょっとメンドイ。

「平和って?!」


「う、る、さ、い!! 黙れ、ち〇こが短いやつら!!!!」

 互いに明後日に視線が泳ぐ。

 聖女は問題児である。

 これは校長から聞かされてた。

 顔合わせで、彼女に無理やり剝かれた攻略対象は。

 ファミリアで記録写真を撮られて、下僕にさせられている関係へ。


 気の毒な話だ。


「わたしに意見が言えるのは“グレイシー・ケッツハット”侯爵令嬢だけだって。言ってなかった、かな」

 グレイシー・ケッツハット。

 一代限りの女侯爵ともパンフに書かれた、唯一の女性攻略対象。

 百合属性も盛ってみましたってノリで、副校長の趣味だという。

 あんの、バーコード禿げがっ。

 ロールプレイの子は、可愛い顔の男の子で。

 確か、人工島エネルギー庁の長官令息だって話だ。

「ちょ、薄い! 校長のてっぺんより薄くない?!」

 マジかよ。

「それが限度です。パールライス子爵の記録は、人工島の保健相に無い扱いでして。これ以上、個人の捜索をすると藪を突きかねません」

 シャルル王子の父親は、自治政府の外務大臣だ。

 そこの従者、いやこの場合は令息が“司馬丸恵”という娘の素性を掘るってなると。

 事件性があるんじゃないかって、警視庁が出張ってくるんだろう。

 それは避けたいって...

「いいじゃん、それぐらい。警視庁にも追わせてあげなさいよ、あの女が麻薬絡みだって匂わせちゃえば、なんか素性だっけ? 勝手に掘ってくれるんじゃない」

 えー。

 この人、マジ、こえぇー。

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