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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2116/2359

- C 974話 魔女の宴に呼ばれるまでの日々 4 -

 ギルドからの提案。

 ボクの便利なグッズの商品化計画。

 第一弾は、ポーションの飴玉キャンディである。

「これ、ハイポーション以外に作れます?」

 そうきたか。


 このままギルドの売店に並べたとしても、需要はありそうだけども。

 ポーションのアンプル以上の出荷台数は見込めないかもしれない。

 また、製造コストにも影響しかねないかも。

 確かに今のままでは高価すぎる。

 ハイポーションなんて、欠損部位まで蘇らせてしまう回復水剤だし。

 例えば、ボトル1本から数個出来たとしても、価値がちょっとだけ変わるだけ。


 ボトルが金貨1枚程度だとしても。

 携行のし易さで、飴玉ひとつで金貨1枚になるかもしれないってなると。

 元のボトルの価値は個数分/金貨ってなるわけで。

 普通に卸している魔法薬科部の混乱も招くかもしれない。

「ま、まあ。作り方は一緒なので、混ぜ込む蜂蜜なんかの質を落とせば」

 質、落としちゃうの?!って声が響く。

 え、え? 落とさないの。

 蜂蜜などの“不純物”には薬効がないと思われてた。

 いやあ~ 実は。

 ポーションと同じだけの質のいいのを使ってまして。

 蓋を開ければ、だ。

 知らなければ、知らないでいい話なんだけど。

 甘味としての楽しみは確かに減る、かも。

 ちょっと甘いのど飴の如く。



 そうだなあ。

 商品化にメドがたつまで、ざっと4日はギルドと魔法薬科部を渡り歩いた。

 その間のクエスト消化が疎かになったけども。

 それなりの成果には近づいて、1年で取得しなければならない単位20は、とおに越したようだ。

 学年主任教諭のメールにも...

『おめでとう、授業にもろくに顔を出すことなく勝手に単位取得したのは、キミが、キ、ミ、が、はじめてだよ! パールライス子爵殿、本当に規格外な子が来て我が校も、創立以来の出来事に困惑しているところだが... これから数か月、ひと月に一回くらいは顔を出してくれるといいのだけどね?』

 終始、嫌味だった。

 1年で取得できる単位20のうち、普通の場合は多くて“5”を何か月もして勝ち得る者だという。ダンジョンの攻略から、クエストの消化、新商品の開発から販売実績なども、実のところ単位だけでみれば“1”を越えるか、否か。

 ボクは、数週間で単位“28”に到達したのである。


 その功績の主たるは、

 ポーション・キャンディの実績となる。

 ちなみに魔法薬科部に詰める1年~4年生全員にも、単位“3”が付与された。

 ポーションの改良と、携行性能の飛躍的向上という技術面の支援として、ボーナスだというものだ。

 これには参加学生と顧問の教諭から感謝されたなあ。

 大したことしてないのに。


 いや。

 それが学校ってとこの“()()”なのか。

「もうすぐ、春の大祭が来るね!?」

 “マタタビ”ギルド長が、唐突に語り掛けてきた。

 首に巻き付いてくるとマフラーにしか見えない、胴のながい猫さんだけど。

「春の? 大祭???」


「ああ、マルちゃんは知らなかったね。――んー、簡単に言うと。意中の()()にダンジョンにある怪物おおものを仕留めてきて、これを捧げるという求愛のイベントだよ。まあ、単なるパフォーマンスで、クラス対抗戦や、個人戦もある()()だね」

 ほう。

 単位が少ない子にとっては起死回生。

 いや、一発逆転もありうるっていうイベントでもある。

 優勝者には、苦手とする学科の免罪符が与えられて、単位20の足しに宛がわれるのだ。

 クラス対抗戦なら、運動が苦手なエサちゃんたちの支援になりそうだし。

「ボクも一応、女の子ですけど?」


「あ、うん。男装・女装の姫君にも、献上する子がいるかも知れないね。意中の姫は、意中の殿方に無事を祈って刺繍入りのハンカチーフを渡す習わしもあるんだよ。マルちゃん、針子は得意かな?」

 この“マタタビ”先輩は、他人をよく見ている傾向がある。

 流石のギルド長ともいえるか。

 料理は出来るけど、ボクには刺繍は無理かな。

 損壊したBDUの袖や、ボタンを直すことくらいが...

 せいぜいだし。

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