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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2115/2367

- C 973.2話 蠢くものたち -

 人工島名物の人工浜辺に続々と、這い上がってくる黒光りのスーツたち。

 三つ目に光るゴーグルで顔を覆い。

 ぴっちりと身体のラインが浮き出た屈強な男たちだって、分かる。

 そりゃ、立派なエリンギが右に、左にと首を傾げてるから。

 性別なんて()()っと分かるってもんだけども。

「みなさん、早い御着きですよね?」

 脱落した諸先輩方は、いませんね――って、黒豹宅急便姿のひょうきんな男が問うてた。

 宅配便のワゴン車ごと浜辺に乗り上げて。

 サイドドア全開で、突っ立ってる訳だが。

「黒豹はふたり一組だろ? バディは」

 心底不機嫌そうに。

 ゴーグルを剥ぎ取った東洋人ばりの顔立ちの者。

 一見すれば、日本人にしか見えないけど。

 どことなく変なイントネーションが耳に残る雰囲気がある。




大尉キャプテンのことを寄生虫みたいに罵るんで、シメておいたんで。たぶん、どこかで粗大ごみになってると思うんですよ。っすぅ~、オレ、悪い事は何もしてないっすよね?」

 悪いかどうかは、彼の持つ倫理観であって。

 浜辺から揚がってくる黒光りの男たちには関係ない。

 まあ、それでも不都合があるか、ないかで言うと。

大尉キャプテンと八ツ橋の両家に変な噂が立たないかってとこだが。ちゃんと記憶喪失が疑われるよう、工作はしたんだよな?」

 インテリヤクザばりに、銀縁の高さが低いスクエアなメガネが、キラリと光る。

 ワゴン車から持ち出す箱の中に入ってたアイテムだが。

「あー、まあ。確かに、、、そうっすねえ。とりま、顎下から襟元に酒をぶちまけておいて。っ、腹の上の紙袋に入った空のウイスキー瓶を置いて来やしたけど。もう少し、ラードを溶かして頭髪に沁み込ませておいた方が良かったでしょうか?」

 そこまでされたら、人生が終わりそうだ。

 黒豹宅配便の島内サービスは、八ツ橋グループのいち営業部門でしかない。

 数十もの別業種から運輸・運送のさらにひとつ。

 個人配送のものだけど。

 業績は右に横ばいと言う業績で――。



 八ツ橋以外だと。

 六甲鉄道グループとか、七菱鉄鋼グループ。

 参鬼警備保障なんてのもあって、人工島自衛隊との太いパイプで政界を沸かせたことがある。

 癒着とか天下り先とか、警視庁も同グループにお世話になってるんで、強制捜査なんてガバガバのユルユルだったって話だ。7人の警視総監(経験者)がグループの取締役専務だって言うんだから、ねえ。

「みなさん、マジで細マッチョだから何着ても嫉妬しか湧きませんね」

 宅配人の本音が駄々洩れる。

 咳払いが聞こえたけど。

「えっと。大尉キャプテンは皆さんより2、3日前に怪しい物件へ潜入調査に入ってます。えっと、たしか......マーシア王国、()()()()()()()()()()()って、言ってやした」

 魔法使メイガスいの養成校としてある種の有名校だけど。

 どっちかと言うと、メタバースの世界での同高校の知名度は別格だ。

 本物の金持ちだけが通える、親がエリートな性格の学校であること。

 通う子供の我儘に、どこまで親が本気に向き合えるかも重要であるという。


「恐らく本丸だろうが、それだけに尻尾も掴ましてもらえんだろうな」

 当たりはつけている。

 少女の行方は未だ不明だけど、その為の兵隊の上陸なのだから。

「先ず、お前は粗大ごみにした宅配の先輩を探してこい!!」

 文句は出た。

 バディで動くはずのひとりが、飲んだくれてバックレてるのは不味い。

「お前の仕事だろ、しっかり全うしろ!!!!!!」

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