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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2113/2359

- C 972話 魔女の宴に呼ばれるまでの日々 2 -

 学校に広まるなんて一瞬だよ、一瞬。

 ファミリアにはSNS機能まである。

 魅惑のパールライス子爵と公爵令嬢との禁断な恋だったかな。


 ロール的に。

 彼女には相手がいる、攻略対象者の第一王子。

 つまり王太子である。

 とは、別に――。


 リアルでも一度、世間を騒がせたことがあるんだけど。

 八ツ橋の令嬢と自治政府重鎮の令息との縁談話。

 これは不発に終わってるけど。

 完全に消化したわけでは無かった。

 王太子は、エサちゃんを追って...

 この学校に入学したと言いう噂まである。

「ないない、八ツ橋の実権はお爺ちゃんが握ってるもん。毒盛られても、斬りつけられても生きてそうなお爺ちゃんに、誰が逆らえる? マルちゃんにベタ惚れだし。あんな細いキノコじゃ、わたしの視界にすら入らないよ」

 とは言ってた、エサちゃんだが。

 あの子はあれで悪食だからなあ。

 心配だわ。



 学校の噂に振り回されながら。

 ギルドの応接室に今、ボクはある。

 目の前には、やたら胴の長い猫があって。

 値踏みしてきてる。

「単刀直入に問おう! 汝は、どうやってダンジョンを駆けあがった?!」

 ん?

「足で」

 殴られた。

 肉球の掌が頬に当たり、こう、ぽよ~んと。

「足で」

 二度目も同じ感覚で殴られ。

 なんか、幸せ。

「アホか! そうじゃない。初見殺しのダンジョンをどう攻略したか問うている。――っ、例えば“オートマッピング”のアーティファクトとか、小物の魔物を寄せ付けない“魔物除けの鈴”とか。あるだろ、そういう大層なアイテムが!!!」

 若干、いや、これはキレてるな。

 でも、ボクから言えるのは。

「無いですね、そういうの」

 殴られた。

 今度は爪が出てた。

 痛かった。

「ぎゃー!!! この子、やだー!!!」

 胴が長い猫が奥へ消えて。

 エルフの職員さんが困り顔で現れる。

「ギルド長を泣かせないでください」

 ああ。



 校内にある冒険者ギルドの長は、“マタタビ”という名のめっちゃ胴が長い猫だ。

 受付嬢はエルフさんで、ファミリアをOFFにしても耳が横にピンと張った亜人だった。

 うん?

「ファミリアのON/OFFの切り替えはナシでお願いしますね。耳長族わたしたちはファミリアで見せている拡張現実の賜物、いあ違うな。えっとコスプレイヤーみたいなもんだって思われてます。ギルド長だって、本当は普通の猫で通ってますんでバラさないでくださいね」

 いや、バラしはしないけど。

「じゃ、さっきのやり取りの確認です。どうやって攻略したんですか?」

 ボクは正直にありのまま情報開示することとした。

 例え、やり方が分かったところで。

「ふむ、モンスターの腸の中に潜り込んで休憩を、ですか。普通は思いつかないですし、やりたくない攻略法ですね? ()()()()()の微塵も無いですけど、何から着想を」

 原点があるのではという推理だ。

「ガキの頃にジャングルで」

 こりゃ信用されないなあ。

 不思議そうな表情だ。

 エルフさんも顔がくしゃくしゃに歪むことがあるんだね。

 これは、叩き出されるかな。

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