- C 971話 魔女の宴に呼ばれるまでの日々 1 -
30階ダンジョンのタイムアタック制覇では、加点が多かった。
最深に生えている薬草“ポプテピピック”草で2点。
大層おおきな花を咲かせる草で、その蜜を使って傷薬をつくる。
草の根や葉は攻撃的なので使い道がないという。
ま、ボクも採取で泣かされた。
初見殺しって雰囲気だったのは、この草だった。
で、ボスの独占。
と、討伐で5点加点されたわけだが。
懐が温かくなったのは、攻略時間の短縮と評価だ。
BIG4からは難癖が付いたけども、学校側の評価は大きく。
単位の心配がなくなる。
ボーナスとして金貨10枚。
校内専用の流通貨幣。
◆
支援は出来ないけど、逢引はできるというローカルルールに従い。
エサちゃんがお忍びで、ボクの部屋に来た。
ごめん。
出かけてました。
「ま~る~ちゃ、ん?」
メイドに従事してるハナちゃんが留守番してた。
天気もいいので部屋干し中、だ。
「何故に部屋干し!?」
「ドアはノック、お願いしますよエリザベートお嬢さま。この部屋干しは、その...」
深くもない事情がある。
ボクの下着が無くなるからだが。
御蔭で、もってきた1週間分の地味な下着は半分以下となり、買い足した派手な下着が大半を占めるようになる。ま、貴族風の学校だから身なりが派手になる演出は。一度、真剣に話し合いたいけども、ここはひとつ瞼を閉じるとして。
下着の派手さはなんなんだ!!!
「マルちゃんも、紐パンですか~」
他人事みたいに。
エサちゃんは校内で売られてるもんより、通販を使えと言ってた。
ファミリアを通して、売り買いが出来る。
冒険者ギルドで小遣いを稼ぎ、通販サイトで商品を買う。
届く下着を見て、ボクが発狂する。
ま、こんな流れ。
御蔭でいまじゃ、腰の紐がいつか外れるのでは?!という恐怖と戦っている。
落ち着かねえなあ、もう。
「マルさまが落ち着かないと」
ハナちゃんがすっかり固くなったしまったけど。
新鮮なので“怖い”ボクを演じたままだ。
ボクだけの可愛い人格を傷つけた奴らには、相応の報いを受けて貰うけど。
そうだ!
実は、この時――。
ボクはエサちゃんの休憩室程度にしか使ってない、女子寮へ足を向けてた。
彼女が利用するのは、汗をかいた服の交換と、コミュニティの記録取りに当てた。
常時、管理人のような従者がある部屋だけど。
そこは主人の友達枠で。
門前払いを喰らう。
「何故だ!!」
思わず、部屋の前で門番と対峙する事になる。
魅惑のパールライス子爵と、悪役公爵令嬢の従者との戦い。
これが噂にならない訳がない。
「キサマのせいだぞ!!」
門番が頑なだったせいもある。
正直に言えば、これほどの警戒意識は素晴らしいとボクも思う。
ハナちゃんにもこれは欲しいスキルだ。
が、
ここではスルーして欲しかった。
「このごく潰しが! 如何に主人の婿養子になる方であろうとも、今は主人を全力で守護する!!」
天晴って言ってやりたいが。
こいつ、余計なことを。
集まって来た女子寮の住人達に宣言した形だ。
やー、恥ずかしい~