- C 970話 攻略対象に喧嘩を売る 5 -
ギルドの記録映像に残る30階層で待つボスの姿が。
イノシシのような巨躯に、尻尾が三つ首の蛇、鋭い牙が四本、下顎から突き出している異業種。
ネームドと呼ばれる魔物だという事は分かってる。
種族名は、イボイノシシ・キメラ改。
果心居士って名の女性教諭が研究中の果て、自身の飼育施設に入りきれなくなった魔法生物を放してしまうので、役小角先生がダンジョンボスに採用しているんだとか。
魔物レベルは、ロールプレイングにおいて。
役小角先生の自由裁量で任されてるけど。
ボクの前では、ちょっと物足りなかったなあ。
せめて、2体は欲しかったけど。
まあ、ともあれ。
攻略は質量のある残像を用いて、タゲを移し。
スロウ、ブラインドネス、スタン、イルネス、極めつけは「帝国式、閃夜一夜!!」思わず、技名を叫んでるボクがいたなあ。いやはや、もう毒されてしまってたようだ。
この技はまあ。
簡単に言うと、魔法で作った千本もの刃が大地から生えてきた、そんな感じ。
諸動作はあるし。
それなりの時間は必要。
しかも連発出来ないし。
いや、一撃必殺を乱発したら、何かがおかしい。
しかも。
使用直後に倦怠感が襲う。
ギリ、気力で補うけど。
このファミリアでは1日2発が限界のような気がする。
3桁しかない魔力が半分まで削られてて。
そりゃ、眠たくもなる。
◇
冒険者ギルドに戻ってくると――。
めっちゃ胴が長い猫に絡まれながら。
すべての冒険者から祝福された。
いまや時の人になったわけだ。
ま、たぶん。
これで目標の“魔女の宴”に呼ばれるんじゃ。
とか思ってた時期もありました。
世の中そんなに甘くない。
攻略対象、アルベルト・バッテントレルを敵に回した不運。
それをその身で味わう日が来た。
「キサマのような田舎者には、こうしてくれる!!!」
聖水を掛けられた。
ゲ、しょっぱ。
「聖女から頂いた、聖水だ!!!」
うわ、マジかよ。
おしっこじゃないだろなあ。
成分的にはおしっこじゃない。
男の子に自分のおしっこを持たせる、女の子は居ないだろうし。
乙女神に捧げた食塩水だという。
こして嫌がらせの日々は続く。
好きな女の子には、
なぜか悪戯してしまいたくなる心理にもにてる。
ボクだけは対象外でお願いしたい。