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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2106/2359

- C 966話 攻略対象に喧嘩を売る 1 -

 この学園のどこかに()()と呼ばれる乙女がいる。

 間違いなく居ると、副校長は教えてくれたけど。

 まさか、ボクから台風の目になるとは微塵にも思っていなかったからか。

 或いは2年も経過していれば、だ。

 勝手に輝くものだと思ってたのか。

 詳細を教えてはくれなかった。


 担任の役小角えんの・バンビ女性教諭が煽らなければ、だ。

 ボクはボクの仕事に専念できたと思うんだよ。

 まさか、こんなトコで。

 攻略対象に喧嘩を売ったり、買ったりもしなかったと。

「異国の子爵がどれほどの者か!!!」

 ああ、完全に怒髪天だな。

 副校長からは冷静沈着だと聞かされてたけど。

 王太子は、顔の前に突き立てたレイピアを、フェンシングのように前方に突きだしてきた。

 合図もないし。


 ボクはその切っ先を鞘で弾いてた。

 王子を前にして抜刀するのも大人げないと思うし。

 ボク、一応、モブだし。

 黒山の中からエサちゃんだけを見つけ出しているんで。

 彼女にいい格好を見せたいと思えば。

 たぶん、まだ他に幾らでも機会がありそうだし。

「舐めた真似を!」

 いやあ、どうも声の大きな王太子だ。



 レイピアは、刺突剣の代表みたいなもの。

 本来は完全防具の騎士に対して、関節などの守備力の弱いところに鎧通しのように突き刺して。

 致命傷を得る武器だったけど。

 切りつけるとか、そう言うのには向かない。

 19世紀ころにスポーツとして盛んにフランスで行われた、フェンシングの主要武器として使われ。

 貴族の嗜みとして目撃されるようになる。


 それ以前では実は。

 あんまり実用的じゃなかったんだよね。

 ルール上、直線的に突き攻撃の応酬をし合うなら、ボクに勝ち目はない。

 けど、これ私闘なのよね。


 突進してきた王太子の軸足を払って突き飛ばす。

 いやあ、実に簡単な所作だよ。

 ボクの方はサイドステップで、左右どちらにでも回避すればいいんだ。

 姿勢が崩れた王子の顔に、鞘の先を向けて終了。

「1本、それまで!!」

 女性教諭の“やめ”が叫ばれた。

 面白くないのは王太子じゃなくて、BIG4の外野たち。

「今のは、反則じゃないのか!!!」

 なにが?

「止めを刺さなかった、ですか?」

 教師の言葉とも思えませんが。

 耳は疑ったフリはした。

 が、BIG4も、ボクもそうじゃない事は分かってる。

 首を傾げつつ、

「何が不満なんです」

 煽らなくてもいいのに煽っちゃった。

 ちょっとムカついてるんで、つい。

「ルールから、完全に逸脱している」


「お前も貴族なら、貴族らしく」

 はあ~生ぬるい、ガキどもめ。

「ボクの()では、抜刀したら命のやり取りを宣言したものと同義になります。つまり、戦争ですよ...と言えば、大方の予想は付きますよね?! 戦争であればサシの勝負においてルール無用の騙し合いは勿論、命の取り合いに水が差される事なんて、ない!!!!」

 最後はちょっと強く言ってみた。

 生ぬるかったので。




 ま、これが決定的だったな。

 売れない喧嘩を安値で売ってしまったんだわ。

 で、BIG4はそれを買った。


 あちゃー。

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