- C 964話 初期イベント処理中です 4 -
個人の実力が把握されると、入学式のイベントは落ち着く。
そういうものだけども。
編入生となると、そういう訳にはいかないらしい。
ああ、めんどい。
入学式イベントでなら、佳境に入っているので教室に行くことになる。
そこでも一波乱起きるのがテンプレというものだ。
例えば...
規格外魔法士と一般魔法士のクラス分けとか。
或いは、ハーレム・チートないちゃらぶ学園生活のスタートとか。
もっと突っ込むと、魔界の住人が押しかけトラブルを持ち込んでくるとか、だ。
最後の方は、酷いご都合主義テンプレと言って。
“ボク、何かやっちゃいました?!”
なんて白々しいことを呟くまでのイラっと来るイベントなのだ。
◇
ま。
編入生であるボクには、そんなイベントは発生しない。
もとより今、教室に行ったとこで脱ぎ畳まれた、制服とブラウスにスカートくらいの衣服くらいしか。
そこにはありはしないからだ。
ボクとしては。
ハナ姉に倣って、エサちゃんの衣装を探し出し。
エサ吸いってので時間を潰すことができる。
それを知った本人がどう思うかまでは、想像したくないけど。
女性教諭曰く――「今、みなさんは野外で剣術の訓練をしている筈です! マルさんの腕試しに丁度いいんじゃないですか?」――だから、フラグ立てるなよ。
そんな、こんなで、野外実習に出ている生徒の下へと誘導された。
要するに、実力不相応な問題児たちの顔合わせイベントがあるって事で。
そこに巻き込まれたくないボクも、巻き込まれたという。
「帰りたい」
ついに心の声が口から漏れ出た瞬間だ。
ファミリアを通さなくても。
学園の敷地は広い。
一等地ではないけど、広さだけならば人工島の上級学府に匹敵するかもしれない。
さて、ONにしてあるファミリアから通した光景のすばらしさ。
もとい。
中二病まっしぐらな雰囲気は、直視も憚れる感じがする。
だって――「我が呼び声に応えよ、雷鳴! ライトニング!!!!」
なんて詠唱している子たちがあるんだ。
もう立派な17、8歳くらいの少年たち。
いや、あれはボクと同じ男装の子か?!
「はい、皆さんに紹介します」
ちゅーもーくーってな声を挙げた担任。
女性教諭はここで改めて、名を告げてきた――役小角と。
小さな角を持った小動物というイメージから、“小鹿”になって“バンビ”にいきついた。
安直~ぅ。
「どうも、隣国から留学という形で編入してきました、パールライス子爵が末子、マルと申します」
体操服姿の少女たち、いや貴族令嬢からは黄色いエールが飛んだ気がする。
エサちゃんからはウインクが。
男装している女子からも、親指を立てて。
なんだろ共感されたのかな。
面白くないと思ったのは、聖女サイドのようだ。
あからさまに敵視されたきがする。
ファミリアのログを見たら、その意味が理解できた。
スキル鑑定のブロック表示があったからね。
エサちゃん曰く、
「王太子と聖女の取り巻きは、基本、思い通りにならないと癇癪起こすから気を付けて」
だって。
それはさあ、もっと早く言って~