表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2101/2369

- C 961話 初期イベント処理中です1 -

 ボクが手に入れたロールは、

 子爵令息である。


 お爺さんにケチられたわけじゃなく。

 実の孫であるエサちゃん以上に積んでくれた編入額と、寄付金。

 校長と副校長が手揉みしながら、今シーズン最大の寄付金でしたって明かしてくれるほどに、だ。

 が、そのあとで。

 副校長が申し訳なさそうに震えた声で。

「枠がない?!」

 侍女に扮するハナ姉の声。

 相変わらず大きな声だけど。

「各配役に影響がない爵号なんですけど?」


「は、はい」


「どうでしょう、子爵と男爵、准男爵があります」

 お遊びの配役だから追加で公爵とか、あるいは伯爵が創出されても問題はないように思うけど。

 配役ロール取得の条件として、学校側では寄付金額の上位から早い者勝ちを採用している。

 しょうもないルールに思うけど。

 そもそも特科生徒のシーズン枠には上限がある。

 そこへ無理やりねじ込んで貰った手前、しょうもないルールでも。

「わかりました、子爵でお願いします」

 聞き分けのいい少女ボクを演じなければ。

 駄々をこねて悪目立ちもよくない。



 学び舎はみっつの棟に分かれている。

 一般生徒たちは、よっつ目の棟へ誘導されてるけど。

 伝統的な学び舎だと、副校長は教えてくれた。


 が、


 ここ人工島は建造からまだ半世紀しか経っていないんだけどね。

 古びた城のような外観の学び舎も。

 特殊な塗料でアレンジされてるだけだよね?


 とは口が裂けても、だ。

 半世紀しか経っていないのは人工島で。

 この貴族風の寄宿学校自体は、どうも海外にあったとか...

 ないとか。

 ARとかVRが普及したのが1世紀弱。

 フルダイブ型が浸透したのも1世紀弱。

 ここの近代魔法使い養成ってのも、上記の技術を利用した“可能性の追求”めいたものである。





 とんがり帽子にえらく鍔の長く広い帽子を被り、

 いかにも現代の魔女然とした風貌の三十路な女性教諭が、ボクを()()()ってとこに導いた。この部屋は、入学式を終えたピチピチの1年生が列をなして廊下まで並び、期待に胸を膨らませながら挑む最初のステージである。

 ま、ボクの方は。

 億劫そうな表情で、猫背。

 かつてないほどの面倒臭そうな生徒を演じてた。


 初日こそは『こんな素敵な学び舎で学べるなんて!!!』と、感激して見せたけど。

 正直に言えば()()()なんて通いたくもない。

「この水晶に手をかざしてみてください」

 女性教諭のススメ。

 水晶玉は首根のファミリアから通してみれば、如何にもってな雰囲気の神秘性を帯びているけど。

 ファミリアをOFFにすると、たんなるガラス玉にしか見えない。

「――えー」

 本音を言えば、何を期待しているのかが推測できる。

 副校長からの言葉をそのまま展開すると。

 この学校では拡張現実を通して、生徒は配役にあったアバターで生活している。

 授業はクエストを解決することで単位の取得が可能で。


 ロールプレイングに徹して、自身の道を切り開いていくのが卒業までの課題であると。

 これを聞いて一気にやる気を失った。

 チュートリアルクエストを取り溢すことなくやり遂げると、ランダムのボーナスクエストが発生する。

 これは最後までやり遂げた者が知り得る情報。

 つまり、入学が決まったその時からクエストが解放されてるんで。

 やる気のある生徒しか気が付かない。

「さあ、さあ、水晶に手を!!」

 なんか面倒なので翳した。

 ファミリアはONで――ガラス玉が派手に砕ける演出。

 いらねー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ