- C 958.7話 闇夜にお邪魔しますね -
人工島へのアプローチにはいくつかあるけど。
飛行場を利用する場合が正攻法だろうか。
ただ、規定航路から外れることが殆どの人工島は、予定なんてのは意味がない。
近くを飛んでいる航空機に対して、割り込み通信を行い。
着陸する意思があるのかどうかを確かめる感じが多いのだ。
ゆえに、人工島「倭島」は幻想郷なんて言われてた。
単なる皮肉である。
◇
いくつかあるアプローチの中でこちらは不法侵入。
見つかれば間違いなく強制退去させられるし。
場合によっては、お縄になるだろう。
超高高空になると、外気温は氷点下へ。
雲の中を飛びすぎると航空機の機体表面が、凍結するといわれてる。
そんな高度で後部ハッチがゆっくり開き。
吹き込む風に耐圧スーツの表面が白くなっていった。
「準備は万端か? 貴様ら!!!!」
ぺたんこまな板に、肉付きの薄い腰。
一見、男の子のように見えるボクがいて――見渡す格納庫に3つの目のようなゴーグルを被った、似たスーツの集団が、3人一組の分隊で3個。
これのスーツの恥ずかしいことは、ただひとつ。
デブが着ると、よりデブになるという。
あと。
キノコのもっこり度合いと、傾き具合がわかること。
これ、目のやり場に困るんだよなあ。
ボクだけなら問題はないんだよ。
「マスター! いつでも行けます!!」
よーし。
ボクはその時点では、そう思った。
人工島へのアプローチの方法は一つとは限らない。
こうやって高高空からスカイダイビングで行うこと。
問題がないわけではない。
防衛隊の目から如何にして逃れるかだが。
そこは現地にいる“ボク”に頼らざる得ないんだけど。
「GO!GO!GO!GO!GO!GO!」
ボクの号令で、分隊たちが飛び出していった。
んで、ボクも。
飛び出した後、母鳥を見る。
赤色灯がチカチカ光って『健闘を祈る』だってさ。
雲の闇の中に消えていった。