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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
人工島の寄宿学校
2094/2359

- C 956話 人工島の貴族学校 序幕1 -

 さて、人工島にも新年が訪れた。

 ただ島が太平洋を彷徨ってたんで、予定航路から外れて日付変更線を跨いだ結果――。

 2回目の()()()()を迎えた。


 アホだ。

 元旦を2回も祝う事がではなく。

 日付変更線を跨げば、休みが1日伸びるぞ!と思った連中がだ。

 人工島は台風や嵐から逃げれる事が出来るよう設計された、“客船”でもある。

 巡航9ノット、全力で20ノットは出せるけど。

 事実を知った自治政府から怒られたって話。

 同じ棟にいる“航海庁”の職員さんが、苦笑交じりに教えてくれた。


 結局、1月2日がカレンダーから消えて、だ。

 1月3日から数え直されている。


 な、アホだろ。


 職員さんも。

「アホだよなあ、1月2日の日勤と夜勤シフトの連中。休日手当てが飛んじゃって(両肩を竦めて、手持ちのコップ酒を煽る)、激怒も激怒、散々だったよ。結果的にヤらかしの俺らが後で()()()話になったんだから」

 なんて打ち明けてくれた。

 ボクも付き合って、梅酒を呑んでる。

 ハナ姉は完全に下戸。

 呑むと酔うのに、何故か呑む――意味わかんない。


 ボクは呑める。

 いや、結構イケる方。

「マルちゃんは最近、見なかったけど?」

 航海庁に務める職員さんは、妻帯者だけど。

 ぶらぶらしてるっぽいボクに、唯一、構ってくれる大人のひとり。

「あ、あ~うん」


「院生の?」

 嘘じゃないけど、正解でもない。

 酔ったフリしながらちょいちょい誤魔化し、赤道直下の星空を見る。

 ったく、季節感ないなあ。

「それ、バイトとしては()()?」

 おやおや、財布、やばいんすか。

 職員さんから、二人目がデキたって話を聞かされて。

 女の子らしくボクも、なになにって聞き返しちゃって。


 ま、


 ハナ姉がコンビニから戻ってくるまでの良い繋ぎには成った。

「がっこ、行って青春しろよ~」

 な~んて。

 職員さんは両腕を擦りながら部屋へ駈け込んでいった。



 ハナ姉の姿は――

 ボッサボサな頭に、なんかちっと脂ぎってる感じで。

 目ヤニが見え、いや、擦ると角膜が傷つきそうな塊が。

 お気に入りの革ジャンにスリムジーンズ、尻の形がはっきりわかるエロい服だ。

 バイト中も絶対、尻見られてる筈なのに。

 彼女に男の気配が何もない。


 ま、身体はいいんだが。

 もう少し小奇麗に、だなあ。

 何処、洗ってんだよ...この人。

「そっだ、」

 コンビニの破棄処分にされたお弁当がハナ姉の下にある。

 貰ってきたという。

 ちゃんと食えよ?

「(柏手打ったから、弁当が手首の下で跳ねて...)エサちゃんがコンビニに来てね、マルちゃんにラブコール? ん、違ったSOSかな、発信していった」

 ほう。

 その弁当は袋の中でバラバラ事件になったけどな。

 エサ子がコンビニに?!

 差し迫った何かでも。

 いや、それならメール。

「マルちゃんにブロックされてて、通知が戻って」

 ごめ~ん、忘れてた。

 コクーンの演算処理にすべてを注ぎ込んでるから、うちのシステム死んでるわ。

「ま、いいから。寒いし、明日にしよう!」

 その時は、そう思ったんだけど。

 もっと早くあの子と接触すればよかった。

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