- C 948話 終末を告げるチャルメラの音 3 -
天界では、天使たちが終末に吹き聞かせるという、最終角笛の練習が開始されてて。
灰になった天使長に代わって、誰が吹くのかってトコが盛り上がりのピークであった。
一応、天使長。
がんばって両腕が復活したので。
角笛の吹き方指導に携わってた。
まだ、この時まではアットホームな雰囲気が残ってて。
別の世界で散髪を終えた、汚女神が元の姿になって帰ってきた――ても、せいぜい3時間くらいの留守である。
「めっちゃ、頭、軽くなった!!」
ベリーショートまで短くした頭に、細くて長い触覚みたいな2本のアホ毛がある。
これを交互に動かしてるんで。
咄嗟に壁や、床下なんかを見ちゃうんだが。
「なんや?」
天使たちの奇妙な動きに気が障ったようで。
「おらんおらんて、眷属は部屋の中。出てくることなんか...まあ、先ずない...な」
部屋の戸は締めた気がする。
気がするだけで毛むくじゃらで出た瞬間まで、記憶がない。
◇
カサカサ、ジジジ、ガサ...
普段ならただの風が立てる悪戯のような物音でも。
汚女神の部屋からだと恐怖が蘇る。
正常な天使たちとは真逆に走るのが天使長。
3対6枚の翼を持ち、身は常に光と共に燃えている高次元の変態。
「なんや? お前まで、は」
そのアホ毛は切らなかったんですか?めいた質問をした。
天使長は自らを犠牲にして地雷へダイブした。
「この毛は私の個性じゃろ、切るかいな」
天使長、再び燃える。
楽しそうに灰になったので、再び彼の復活は遠のいた。
恐らく終末までには間に合わないだろう。
「眷属けし掛けて、こっちの世界から先にぶっ壊して造り変えたろかい!!!」
冠なんだけど。
彼女の手元には赤いボタンがある。
いつでも押せるんだぞと、周囲に恫喝してるんだけど。
じつはうっかり押したことがある。
時間にすると、2千年前くらい。
どこかの地球がひとつ、創世記前に戻ったことがあった。
この時の損失は大きく、ソシャゲのひとつがサービス終了、つまり廃業に追い込まれたのだ。
なんか知ってる気がする。
十恵ちゃんが箱庭作って、ボクのパンツ売ってた事件だ。
あれの隣のサーバーが死んだんだ。
「やめやめ、チャルメラなんか聞いてたら、腹減ってきた。ラーメン食べるからみんな、食堂いきなはよ!! そこの灰にも飯くらいは食わしてやれ。(未だ、笛を吹くのが居て)じゃから、吹かんでいいって! 腹減るじゃろが。こっちは個性キレ言われてむしゃくしゃしてんぞ、はよ、食堂に行きや!!! ド阿呆どもが」
びたーん、びたーんてな具合に裸足で歩き回るインナー姿の汚女神。
スポブラもパンツも、いい感じに黄ばんでますよ~
って誰も突っ込めないのが悲しいところ。
散髪は終えたから。
次は風呂ですかね?
汚女神様。