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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
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- C 946話 終末を告げるチャルメラの音 1 -

「灯を入れまーす!!」

 50センチメートル厚に匹敵する、コンクリートの壁が四方に張り巡らされて。

 そうした筐体の中にひとつの人形が置かれてた。

 ゴーレムの方は、昔ながらの錬金工作で。


 ゴトゴト、無様に揺れ始める。

 座らされてた目もない、鼻もないのっぺらぼうの木偶人形が。

 上下に小刻みな揺れを引き起こして。

 唐突に、吹き飛んだ。

「爆発しましたー!!」

 強度の問題だ。

 オリハルコン粘土は配分が重要で。

 魔女の後継には未だ、早かったかな。

 なんてボクのほくそ笑みでも感じたのか――「配合を変える! もう一度、いや出来るまで実験だ!!」

 なんて、負けず嫌いを発症してた。

 ほーん。

 なかなかやん。



 自身を魔女の系譜に連なる者だと言った、防護服の少女。

 研究好きで、人嫌い。

 他人との距離が分からないから、物理的に隔たりをつくった。

 それが彼女の防護服。


 普段着用と。

 清掃用と...実験用。


 工房の奥に倉庫と言う自室があって――城州王の地下工房に住み込みしている奇特な、錬金術士なんて彼女くらいなものだ。怪しい実験道具や飛散、霧消するようなガスの類なんかも研究している、物騒な施設に自分の命を預けるような真似。

 普通の神経ならとうの昔に壊れてるだろう。

 だから彼女は、()()にいる。


 まあ、熱心に人嫌いの根本を壊そうっていう研究に没頭してる訳だ。

 根本原因、そりゃ...ひと種族の駆逐だろ。

 いや、もっと大きくまとめると、だ。


 自分もふくめたすべてと心中したい。



 ボクは空虚に、ふたつの大きな白っぽい“たわわ”を眺めている。

 404も甲蛾衆も逃がし終えて、そう。

 とりあえず大きな仕事を終えたのだから、ボクが風呂に入っても。

 文句は無いと思ってたんだけど。


 湯船に肩まで浸かったのは久しぶり過ぎて。

 きっと、うとうとと眠りに落ちたんだろう。




 で、だ。




 逆上のぼせたボクの判然としない視界に。

 上下に揺れる見事な果実に釘付けになってる訳だ。

「なんだ、先客があると思えばマル殿かい」

 やや野太く、ハスキーで。

 粗野にも聞こえて頼もしい語気――ガウェイン卿だった。


 工房の風呂は空間を生かし過ぎて、大きく作り過ぎてしまったと思ってる。

 なんせ、湯を張ったら湯気のせいで端から端までの感覚が無くなるのだ。

 加えて中央が160の身長でも足が付かない深さに仕上がって。

 なんなら泳げる湯船という。


 いんいや、これはボクの発注ミスと、現場を任せた人選ミスである。

 くっそー!! ハナ姉に任せるといつもこうだよ。

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