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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2077/2356

- C 940話 光の天使長 5 -

 毛むくじゃらの汚女神の前に通された天使長は、激しく燃えた。

 これは持ち場を離れた女神からの罰と同時に、数日間のデイリークエストを放置してた折檻でもある。

 なんとも肉の灼けた香ばしい匂いが、部屋に満ちて。

「なんか、お腹すいちゃったね?」

 天使長を消し炭にした後で、汚女神が不謹慎なことを言う。

 白亜な眩しい部屋の中をぐるりと見まわして、

「出前、取ろうか?」

 や、何処から。

 見渡した結果がクチを吐いて出ただけで。

 彼女に他意はない。


 ただ、そうただ。

 ツッコミの無い世界は空しいだけで。


 ごほん...

 灰になった筈の天使長の咳払いが聞こえて。

 黒電話を捧げる中級天使と、各種のメニュー表を持ってきた上級天使。

 燃えカスだった天使長の指が『寿司』を指し示す。

「おっと、喰い意地はあるんだね~ 天使長は」

 ちょっと楽しくなった模様。



 天界から注文を受けたのもまた、別の世界。

 世の中は広いんだよ~って声が聞こえてきそう。

「天使長は寿司が良かったみたいだけど、肉が灼けたんだ。やっぱりジューシーな肉を喰わねば、灼けた甲斐もないでしょ。てな、訳でアメリカンビーフを取り扱ってるお店にしました!! はい、みなさん愉しそうに食べてください。これ乙女神としての命令です」

 拍手が部屋を満たす。

 とりま、音頭をとって拍手の誘導。

 上司がいる前での食事の気まずさはない。


 また、それが汚女神なら。

「はい、そこ! 立って、立って」

 急に指さされて、

「天使長は何をしてたのか、応えてみて?」

 彼と同じ階級の上級天使。

 肉に齧りつかんとした矢先に止められた。

「あ、や、えっと」


「はい、残念」

 燃やされた。

 彼もその場に消し炭となって、灰に。

 天使長は自身のご褒美だと思ってるから、どんな形であれ日が立てば自動で復活する。

 が、他の天使たちにそんな機能は無い。

 燃やされたら、即死なのだ。

「彼の配膳は...勿体ないから、天使長? 処理してくれる」

 覗き込む灰。

 その嬉しそうに灰が赤くなってて...

 周りの天使たちが委縮する。




 そんな嫌な空気になってるんだけど。

「は、はいぃぃぃぃ!!!」

 勇者が現れる。

「あら」


「て、天使長は、その!! 人間たちのののぉぉぉ~ 下界の状況視察に、い、いぃぃ行ってました!」

 勇気を振り絞った下級天使。

 門番で、今は休憩中なのだけど。

「そっかあ、でも残念。わたしは()()()()聞いてない。聞かれもしないのに自発的にしゃしゃり出た子を寛大に赦すほど、私が甘い神だと思われるのは癪なわけ。だ、か、ら~あんたも灰に決定!!!」

 指を鳴らすと、下級天使が断末魔と共に消滅した。

 工房から出たら出たで、恐怖政治の開始。

 出なきゃ出ないで、世界は神不在の虚無になる。


「天使長の目、下界にわはどう見えたのかしら?」

 例のファックスみたいな電子音が響く。

 彼は神に次ぐ権能を得た代わりに、失ったものも多くある。

 その身は常に燃えている。

 その目は神の善で瞼を閉じ、悪のみで瞼が開かれる。

「上出来よ!!!」

 汚女神の哄笑が雷鳴のように轟く。

 あ、今、下界では嵐がきてるんです。

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