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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2074/2356

- C 937話 光の天使長 2 -

 月光を通さないゴミ。

 そんな風にも見えたけど、地表で闊歩する人たちにもソレは見えただろうか。

 なんていうか。


 神々しくも気味の悪い寒気さが。

 あ、鳥肌が立っている。

 ぼつぼつですわ。

「ひと? いや、背中に...翼?!」

 有翼人っていう種族はある。

 往々にして性格が大らかで、優しい亜人。

 働き者だけど、力仕事には向かないので、郵便配達なんかしている。

 魔界のソラトビペンギンともいい勝負だ。

 スピードレースとか。


 さて、そんなんでもなさそうだが。

 モルゴースさんが指笛を鳴らす。

 素面しらふのモルドレッド卿、ボクと同じ未成年なのでソフトドリンクで鼻歌うたってた。

 彼女が場の雰囲気に酔ってたところで。

 呼び出して――「お前にはアレが何に見える?」

 他人の脳を使うってのはこういう時だ。


 見ているものが、ボクとモルゴースさんとでも違う可能性がある。

「天使、ですかね?」

 ああ、やっぱり。



「天使ですかね、えっと...違うのですか?!」

 なんて聞き返してる。

 場の雰囲気に呑まれて酔ってはいるけど。

 軽く朱に染まった頬を撫でられたモルドレッド卿。

 モルゴースさんの手の甲に頬ずりしつつ。

「天使です、天使です! 物凄く冷めた視線と高圧的な敵意を向けてきていますね、あの6枚羽は」

 3対6翼の有翼種といえば、高位の存在。

 熾天使と呼ばれた神の右席。

 いや、神の寵愛を受けた有翼種の最上位にして、最強の存在。

 故に常に身体は燃えているという。


 そうか、天使か。

「マル、楽しそうだな?」

 モルゴースさんのもう片方の手が、ボクの肩に残ってる。

 見上げるべくもない。

 彼女も口角が上がってて。

 声に震えが伝わってきた。

 怖い? いや。


 違う違う。

 逆、ぜんっぜん逆。

 だって、あっちから姿を現した。

「世界の管理者を気取る、あれが...アホ面だ」



 天界は大騒ぎだ。

 階層レイヤーの違う世界へと降臨した天使の存在を知ったからだ。

 しかも、それが天使長という肩書の者だからだ。


 どうにかこうにか、いや手押し車に載せられて。

 全身で浅い呼吸の汚女神は、とにかくも執務室に届けられた――ガスマスクを被った天使たちの手で。

 天使の階級は九階級あるとされる。

 最上位は熾天使で、神の寵愛を受けているから常に身が炎に焼かれているという。

 最下位は単に天使、または下級天使とも呼ばれて。

 もっとも多く、仕事も多岐にわたる。


 汚女神の世話を焼くことが出来ないけど。

 偶に~

 数百年に一度かな?

 溜まった衣類が工房じしつの扉前に放置されてる時がある。

『これ、洗って』

 なんて書置きがあって。

 そんな爆弾の回収をさせられる訳だ。


 汚物回収に対するボイコットが数世紀前にあったけど。

 熾天使セラフィム智天使ケルヴィム座天使スローンズの御手で粛清されて。

 えっと、正確な数の分からない下級天使たちが、土くれに戻ったという。

 無茶をする。

 その後日記に、神は嘆かれたという。

「勿体ないなあ、アレ創るリソースだって永久無料のマテリアルじゃないんだよ?! 有限、有料、課金アイテムとかいろいろ掛かってんだから。わたしの代わりに毎日デイリークエスト熟してくれないと...マジ、怒るかんね!!!」

 と、お嘆きに。



 いや。

 これ違うな。

 なんだ、これ。

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