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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2071/2367

- C 934話 祈る相手は、 4 -

 世界中の人々が祈りを捧げる乙女神が。

 実は毛むくじゃらの化け物だった――もとい、汚女神だったと知ったら。

「城州王じゃないけど、世界を敵に回せると思う」

 その人は引き合いにしちゃあダメでしょ。

 自分の思い通りに行かないから、世界を壊してやるって行動してるタイプだよ。

 世界をどうにか出来る、チートパワーがあっても。

 リセットボタンが押せる奴には、どう足掻いても勝てやしない。


 やるぞやるぞ詐欺は、詐欺だし。


 本当に押せるのは。



 そう言えば。

 城州王は何をしているのだろう。

 ここんとこ、いや。

 スカイトバーク王国の街を消し飛ばした前後の行動が判然としない。

 だって、404が暗躍しているダービーの港町も含めて、国内は非常事態戒厳令が敷かれてる。

 タイムリーに聞こえちゃダメなやつ。


 国王を第一に、軍隊が言論と行動の自由を阻害することができる統治法。

 簡単に言ってしまうと、そういう状態である。


 新王朝発足時には貴族院と市民院の議会が制定されて。

 共和国の真似事みたいな、国民選挙が開かれ内閣が生まれた。

 まず、そこまではいい。

 その後すぐに戒厳令によって議会が凍結された。


 あっという間の出来事だったらしい。


 国軍はもとより国王派だから宣言と同時に行動したようで。

 王朝に異を唱えてた、前王朝派の両院議員が一掃されてた。

 計画的だったという話だ。

 と、同時にスパイ狩りも始まる。

 旧防諜教導団のエージェントたちが、また強引な捜査で息苦しくなってた。

 今までカラーだった南洋王国が、途端にセピア色になったような。

 まだグレーじゃないところが救いかもしれない。





 404が根拠地としている娼館も、2号店を手放す決意をする。

 国内で手広く商売してたけど。

「軍人ども、軍票なんて紙屑で飲み食いしやがって」

 フロア長におさまってた眼帯、紅灰色のスレンダーな女性。

 髪を櫛で整えながら、

「それ、公に言うと」


「言わねえよ。バックヤードで愚痴るぐらい自由だろ」

 盗聴器が店の中にあることは確認済みで。

 排除してしまうと疑われるので、周波数で阻害するよう配慮した歌謡音楽が店内に沁みていた。

「金の代わりに懐から出ていく軍票はよ、港の市場じゃ使い道がねえし。とはいえ、配給以外の缶詰その他を出すわけにもいかず。上階に居る()()()()()も、どうしようかって悩んでると思うぜ」

 軍票はダービーの行政庁に持っていくと、国際通貨に引き換えてくれる。

 が、ここでレートの格差にぶち当たる。

 金貨1枚当たり1万票くらい必要になるんだけど、軍票数十枚で2時間以上の女遊びができた。

 こちらで価格は決められず。

 軍人さんの言うがまま、だ。


 貯えも底を尽きそうだけど。

 じゃあ、郷に帰りますって自由はもう、この国にはない。

「誰か助けに来てくんねえかなあ」

 切実な悩みになりつつある。

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