- C 931話 祈る相手は、 1 -
天使の角笛が鳴り響けば、世界が灼かれる。
世界滅亡或いは、世界の終末論めいたものはいつの時代にもある。
1999年ノスフェラトゥの大騒動とか、
2000年ミレニアム問題とか。
あとは、終末の欧州戦争か。
ナーロッパで文明が始まって、ナーロッパで終わるっていう奇妙な予言。
古代ナーロッパ人たちの妄想なんだけど、ね。
彼らの歴史はせいぜい2千年ちょいだ。
旧時代文明がやらかした、地球に隕石群と地殻変動を起こした“ちたまパックリ”事件のその後、海や空に地中と離れた島々で文明は生まれた。長続きはしなかったけども、ナーロッパと比較すれば、穏やかな千年だったように思う。
某・島大陸で発した魔神騒動とかも含めてだけど。
さて、こうした終末論には特徴がある。
人々の猜疑心を煽る傾向だ。
だって、教会はこれを商売として捉えている――まるっきりデマじゃないけど、今すぐにでも“天罰”が下るって事はない。地上の窓口にされている巫女らの目や、口を利用して今まで庇護してきた者たちには“天界からの便り”ってパンフが届けられるんだけども、だ。
匂わすだけで、ヤルヤル詐欺に近かった。
だから、カウントダウンめいたものは皆無だった。
いや。
いやいや...
でも~
どこかの世界線の、いあ、どこかで。
なんとなく似た事があったように思うのだけども、思い出せない。
あの時は親切にも、カウンターがあったように思うのだけども。
今、この瞬間でも唯一神ってのが。
癇に障ったからとかの理由で世界が終わる可能性が横たわってる。
その時、ボクらはどうなるんだろう。
◇
かつての文明時代。
“ちたまパックリ”事件を引き起こした、サルどもだが。
ひと指しゆびを縦に横に重ねて、十字をつくるだけで複数の宗教と会派に分かれる多宗派。
人と共に歩んでた神様たちもあったし。
生活に密着もしてた。
他人の性生活も見てたような、のもある。
いや、教え導き、S〇Xの快楽についてもレクチャーしてた。
自由とはなんぞや?!
そんなに沢山、神さまが居たんだ。
大小の神格なんて些細な事。
これで喧嘩にならないわけがない。
だって、人は自分が一番だから。
神さまがひとりになったのも、この辺りが原因かもしれない。
この世界は、唯一の絶対神。
“竜を御する乙女神”の統治下にある。
ででーん!!
ドヤ顔してる乙女神の無駄にでけぇー胸張ってる姿が見える気がするよ。
あれ、なんで神さまに成れたんだっけ?