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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2063/2358

- C 926話 水上器の運用事情 駆逐艦編 -

 各国の主力航空戦力は平たく言うと、水上器ウイッチ陸上器メイジのふたつが存在し。

 一般的な呼称ではウイッチの方が有名だろう。


 これはそう。

 各国というよりも、先入観が先行している。

 箒に跨って空を飛ぶ姿が――郵便(小物から大層な荷物まで)配達や、通信伝令使なんて仕事の大半を、女性たちが担ってた“ナーロッパ”のごくごく当たり前な風景から。空を飛ぶ魔法使いは、魔女=水上器と結びつけられた。

 いやあ、魔女だけが空を飛んでた訳じゃあない。

 男性の労働者だっていたんだけども。


 箒に跨ると、その。

 障りがあってだね。


 まーなんだ。

 ()()()んで、長時間跨っていられないって。

 その、まあ、諸事情につき。

 メイジは蝙蝠の翼のような、魔法を編み出したり。

 または鳥獣への変身魔法に磨きを掛けていったという。



 最初の航空戦力は陸上器からだ。

 当時はメイジではなく、ウイッチと呼称されてた。

 今から約2世紀前のことだ。


 空戦技術の試行と研究により、箒というアイテムから空戦ユニットなる“木馬”が開発された。

 跨っているという事象の改竄はない。

 感覚的には自動二輪車バイクの方に近く、“木馬”のペイロード次第では爆弾の搭載も可能だった。

 これも錬金術によって魔力運用ユニットが産みだされたからだという。




 さて、魔法士たちの性別差なんだけども。

 空戦技工兵と陸戦特化兵に先ず大別される。

 また、前者は100人の魔法士から1割未満とされるエリートだ。

 さらに男女比は7:3ともいわれ。


 魔法力や、創造性のうんたらなんたら――。

 まあとにかく。

 ここに男女比の、いあ、年齢的な差別は魔法士たちの中に明確なものはなく。

 実際は5:5くらいの距離感しかないのに。


 頭の固い。

 たぶんはもっと下種な話なんだと思うけど。

 ずっとずっとエライ。

 いあ、エロイ?人たちが少女たちに囲まれていたいって。

 そんな理由で、大差になってるんだと思う。


◆◇◆◇◆


 各国で運用される駆逐艦でも、国力に差が明確に出る。

 その国が、自国で抱える()についてどう考えているかによって。

 例えば...

 近海(沿岸)防衛思考か、遠洋(領海一杯まで)防衛思考なのか大別できる。

 世界帝国とかまたは、連邦制で飛び地の封地を持つ国だと、更に細かい国防思考があるので軍艦だけでなく、飛行場の敷設など戦略的に小難しくなっていく。そういうのは、ボクには難しくて分からないけど。

 まあ。

 水上器として乗船するだろう、少年・少女たちは必ず1組6人の小隊で行動する。

 みな総じて階級ランクは“曹長”である。

 給料だって支払われるし、被服の支給と無地の飾り気のない下着も。

 半年に3~6組ほど支給される。

「これ、ぜっぜん分かって無いですよね?!」

 ツインテールの桃色髪の少女が補給科から派遣されてる士官に詰め寄ってた。

 こう壁際まで追い詰めて、だ。

 股の間にひとつ踏み込んでデコと顎が突き合うような距離感で。

 片や下から上に睨むよう。

 もう一方は困った風体で、下を見る。

「とは言っても、これが支給だから」

 無地の飾り気がないは仕方がない、諦めはしている。

 流石に軍のピラミッド構造において、下着が唐突に色っぽく成ったらそれはそれで引く。

 いや、怖い。

 誰がどんな思惑でフリルだのレースだのと支給しようと決めたのか。

 考えただけでも悍ましい。

「だ・か・ら~ 足りないって。そう言ってるんです!!!」

 半年で3ないし6組の上下。

 まあ上はひよったりはしない。

 それはいい。

 先ずは下だ、下。

 男の子と同じ基準でモノを考えんなって訴えてた。

「ああ! 来たんだ」

 デリカシー。

「こんにゃろ~」

 怒髪天の桃色髪が頭突き。

 顎が額に食い込んだ気がする。

 ちくしょー痛いじゃんって言葉が、双方から漏れる。


「待った、待った。こんな狭い廊下で...いや、駆逐艦の中で被服の...えっと、あ、おめでとう。(指先によるささやかな拍手?で、桃色髪の初潮が祝られて)...ナプキンの申請や女性兵士としての心得などは、その、補給科の私ではなく人事科のその怜悧な()()()()に、ね。訴えてくれるかな?」

 きゃんきゃん吠える相手が違った。

 駆逐艦の倉庫は小さい。

 食糧のそれ意外となると、補給科が扱う物資はもっと狭く数もない。

 軍艦に大人の女性兵士がいない訳じゃない。

 水上器ウイッチが常駐する事になったから、20~30人ほど増えたともいえる。

 戦闘員ではなく医務官とか、或いは整備員とか。

 魔法少女たちの世話役に回されている。

「じゃ、じゃあ、えっと... 盛大な人違いって?」


「や、支給時に伝えとけば...良いかったかな」

 そんな小さな騒動は今や日常の出来事。

 魔法少女たちは10代前半で軍艦に乗る。

 憧れたり、恋破れたり、戦死したり。

 10代後半で隊を率いる者になっても、船から降りることは無いようで。

 駆逐艦乗りなんていう歴戦の水上器も。




 かつてツインテールだった桃色髪は、ポニーテールに結い直し。

 甘しょっぱい水面をカモメと共に飛ぶ...んだってさ。

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