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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2061/2359

- C 924話 羨む者たち 4 -

 精霊炉の暴走だけなら定着させる必要はない。

 いや、呼び出すのを時限式に。

 と、フィズから問われたけど――

「ダメダメ、ボクの場合は触媒無しに引っこ抜くとか、乱暴めいたことを口にしたけど。フィズが自身でやってみたんだろ? キミですら星の内海に手が届かなかった...」

 彼女が俯いてる。

 ふむ、図星か。


 だったら分かってるよな...

 拉麺・ローデシア嬢との研究もその辺かな。

「目隠しをして生け簀に手を突っ込んでるようなもんでさ、結構、コツが必要なわけよ。暴走させるだけだとしても、触媒は必要だと思うよ呼ぶにはさ。少なくとも雷属性を呼びたかったのに、似てるだけでって光属性のが来ることもある...。こいつはね、マジ非効率的な大博打なんだよ。内海に手が届いただけじゃあだめなんだ、手が届いて目利きできて――」

 ん?

 おやおや、なんか空気が変わった気がする。

 

 ピリつくような。

「――とすると、だ。マルが書いた術式を真似たら?」

 モルゴースさんの両手の骨が交互にポキポキって鳴ってますが。

 な、なに?こ、怖いんだけど?

「あー、ちょ...ふぃ、フィズー!!!」

 ヘルプ、ヘルプ。

 あんたがきっとヤったクチだよね。

「ダメでした。理論というか理屈、理解していると思うわたしでも......、内海から引き抜くことは出来ませんでした。召喚魔法陣に流す魔法量は微々たるものですが、“存在固定”させるには馬鹿げた魔力を必要とします」

 フィズは“チート”級だと告げた。

 だから帝国の魔女は『憑依させる』という発想にたどり着いた。

 暴走するだろう驚異的な力と、分の悪い契約を結んで従わせる。





 すっごい間が開いて、モルゴースさんから『そっかあ』って聞こえた。

「...っ、精霊炉は実現したのだから、帝国の魔女の着眼点は間違いじゃなかった。少なくとも超巨大な炉をイメージしてたフィズが驚いたように。そしてボクはもっと小さく出来るのにと...感じたように、ネジの飛んだ天才は現れる者」

 きっと、モルゴースさんが尋問を終えようとしてたタイミングだったんだろう。

 ボクはまた火を点けたんだと思う。

「――アリスさんにお土産であげた豆電池みたいな精霊炉。アクセサリー程度くらいにし利用価値はないんだけどね、高耐久性に優れたゴーレム製の強化ガラス筒に封じられし、光属性の()精霊なんかは錬金術師が見たら卒倒するだろうねえ」

 とか。

 我ながら余計なことを口走ってたと思う。

 傘の柄をツナギ服から外して、ボクは捨て台詞のように静かに退場しようと。

 ばたつかせてたフィズの足が止まり。

 ボクの背にかかる圧が、重い。

「なあ、マル。お前だったら何処まで小さく作れるんだ?」

 モルゴースさんの掌がボクの後頭部に。

 鷲掴みになってるんですが、ちょ、ちょ、怖い怖い。

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