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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
2053/2356

- C 916話 狂気と脅威 1 -

 アーガイル領・第三都市の跡地に404が入る。

 派遣されたのはリリィとユウキだが。

 規制線が張られた()()()には未だ、入ることが叶わないようで。

 何もかもが無くなったかつての港町から、西に2キロメートルと少しに仮の宿場町が出来ている。

 大惨事による弔問客が宿するキャンプのようなトコ。


 リリィとユウキも、喪服を仕立てて――。

 逗留していた。

 別行動中の甲蛾衆とも合流したところで、町はずれの厩舎に拠点が移された。

「まあ、馬の糞がありますわ」

 世間知らずめいたお嬢さま然を気取るリリィに対して。

 やや呆れたようにユウキは、糞を遠ざけた。

「ちょっと! マジで触ろうとしないでよ」


「ふむ、御ふた方は世間知らずの娘と、従者みたいな立場で来られたのかな?」

 リリィはドレスで。

 ユウキ・シアンはパンツスーツ然とした執事風。

 薄い谷間が線の細いイケメンにも魅せていて。

 女性だと言われなければ...ちょっとわかり難いなあと。

「ええ、まあ。バカな娘を演じさせれば、リリィのスペックが表に出難いかと思いまして」

 そう装えと言ってきたのは特務機関ほんごくからだが。

 誇張し過ぎた演技は本人のアドリブである。

「実際に握ってみせたら、頭のイカレた娘だと思うだろ、身内からも忌避されればわたしのレベルも上がるような気がして...」

 あくまでも気がしてだ。

 それで演技が上手くなるなら、稽古の必要がない。



 甲蛾衆からは、百舌鳥もずうぐいすが派遣された。

 どちらも東大陸で活動しているクノイチであるのだけども、こちらも()()()()()と明かされなければ、まったく気が付かない声音と風体で装ってた。

 これぞ正に、変装の極みと言うのだろう。

「ええと、閃光に呑まれた街は」


「7日です。すでに7日も経過しても、街の情況を把握することが出来ません」

 ユウキは外周をぐるりと、線の細い足で回ってきたことだけを簡潔に話す。

 先ず、街が無くなった。

 これは火を見るよりも明らかで、何もなくなっている。

 街に伸びてた街道がガラス状の結晶になって、跡形もなく消え去っているから分かる。


 黒墨の向こう側が街だった。

 そんな雰囲気と言うか、土やら木々の影が地面に残っている辺りから、規制線が張ってあったから。

「ふむ、ガラス状か」


「何か心当たりでも?」

 ふたりの眼が百舌鳥に刺さる。

「いえ、これは受け売りです」

 はい。

「高温にさらされた物質の状態変化によって、稀にガラス状へと変化するとか」

 確かに、いや。

 僅かにだが精霊たちの亡骸めいたものが見えた気がする。

 鶯も似たことで頷いてた。

「まるで悲鳴の残滓のよう」

 エネルギーの塊でしかないと思っているのは、一部の傲慢な錬金術士のみだ。

 その中にボク、マル・コメも含まれる。

 あれは単なるマナの塊だ。

 マナ溜まりで結晶化するマナ鉱石だって、大差ないし。

 崇め奉るから、調子に乗るだけのゴブリンみたいな知性しかないし。

「そんなエネルギー体をどうにか出来ないかと、あの手この手で捕獲しようとしたのが...つまり」


「精霊炉?!!」

 馬の糞を掴んだリリィが静かに応えてた。

 いや、その糞何処から持ってきたんだよ?!

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