- C 909話 ぴんく☆ぱんさー 4 -
肉巻きウインナーこと、アリスさんは床に。
妹のスノーと、その付き従うシノビたちが対峙する構図。
「当ホテルをご利用ありがとうございます」
営業スマイルからの~
「この度は、何を御所望されますか?」
と、飾り気もなく本題へ。
王宮へ乗り込まなかったのは、ぴんく☆ぱんさーの出方が分からないからだ。
例えばオーソドックスに、主権者の排除に動かれると厄介だし。
破壊工作とか、一見すると誰に利する行為かって思うかもだけど。
どこかでぐるんと回って...
スカイトバーク王国に利益が巡ってくるんだとしたら。
「ないない(総長が掌で空をかき回す)、そんな事したら戦争だよ。まあ、距離が離れすぎてるから即は無いにしても、王国が国際法上ヤバイことになる。あ、国際法ってのはだねえ、ナーロッパ評議会が定めた欧州ルールで。ここら辺の蛮地のローカルルールとは違う物差しでね」
取り繕う感じはするけど、総長の方に熱が籠ってない。
なんて言うか。
アレだ、感情がないだ。
「国際法ですか」
「後発組に分類される王国は、現状、蛮地の植民地化は望んでいても。同レベルまで国威を落としてまで事を構える気はない。そして、魅力的な資産や資源を無暗に下策な方法で喪失させることも...」
これは、恐らく海を蒸発させた兵器だろう。
城州王の無茶な政策への抗議。
もっともその情報をどう掴んだかは不明だが。
「未だ疑ってるかあ、悲しいなあ。アリス君の妹さんとは、ボクの子を産んでくれるような仲にまで発展したいと思ってるんだけど。よし、よーし! ここはもう少し腹を割って話そう」
スノーの蔑む目が刺さる。
これ普通の感覚があれば、すっごくすごーく心が抉られるとこ。
でも、総長さんはなんか嬉しそう。
ああ。
そういう趣味の人か。
「戦争の終わらせ方だよ。聖櫃ってのがばら撒いた悪手の種の回収、誰かにとっては正しき明日の迎え方...だね」
迎え方?!
◆
寧華陛下が棲みつき始めて、4日目。
ボクの工房にまたひとつ新しい部屋が設けられた――地下空間がまた、横に伸びやがった。
これじゃあ、新しい宮殿つくる意味ないじゃんよ。
「マルちゃんの魔術なら、候補地の地下とも繋げられるんじゃ?」
とは女王さん。
いやはやよく分かってらっしゃる。
そりゃね。
座標が分かれば、科学的にも空間座標の入れ替えみたいなもんだから。
瞬間移動のように動かせるけど。
建物の下に基礎工事をぶち抜いたような広い地下空間できたらね。
家屋の自重で押しつぶされるから。
「そっかー」
一寸は考えてくれたけど。
「じゃあ、建物がない地を候補に入れて貰おう!!」
また、そんな簡単に。
あきれて抜けた気力を返してくれ。
「てか、執務はいいの?!」
「ああ、マルちゃんからチビゴーレムを借りたんで」
貸してねえよ?!
「え、あ、じゃあ、ハナちゃんだね。メルちゃんもこんな少女な形の私に過保護でねえ」
一緒に遊べるニート仲間が欲しいだけだろ、あいつらは。
てか、ゴーレムに執務なんて。
いや、部屋にいる秘書官のひと驚いてんだろうなあ。
「無問題! ゴーレムに縦巻ドリルなウイッグ被せたら――陛下、こちらにサインを――ってバレてないから、全然大丈夫だった」
まぢかー!!