- C 908話 ぴんく☆ぱんさー 3 -
ぶっちゃけると、生物的生殖本能の刺激。
もっと分かり易く言えば――勃起である。
「死ねや!!」
付き人として、総長と共に来たアマゾネスは。
非常に怖い顔をしてアリスさんを簀巻きに処した。
「ち、...キノコを切り落として」
「生理現象だ! 悪気とかそういうのじゃなくて。あいつが余りにも好みだったんで」
ストライクゾーンだった。
ド直球の、ドストライクで魅力的なすべてだった。
アリスに気が無かったとしても。
まあ、そこまで言われて悪い気はしない。
シャワーの音で。
心臓の高鳴りと、硬くなった乳首でなんか...外野が煩いって勘違いした。
《あああ、なんかムラっと来る...ラミアたんも引っ張て来て、》
今からでも遅くないとか思った。
思っただけで実行はできない。
そりゃ、アマゾネスたちが止めてくれるからだ。
◇
バスローブに身を包んだ、総長は。
濡れた短髪の髪を掬いあげる。
短いから湯切りしなら、
「好きです!」
アリスさんからド直球の告白が。
赤面したまま凍り付く総長――肉巻きソーセージが目の前で揺れてた。
まあ、アマゾネスからの攻撃を受けてるとこなんだけど。
「待て待て」
「はい? こんなキノコ、今、ここで始末しませんと」
胞子を飛ばして妊娠させ兼ねませんってのがアマゾネスの言い分。
アリスさんの方は、
「体外は流石に無理ですよ、せめて粘膜同士の接触は認めて貰わないと」
とか。
どうもよからぬ方へ。
「だから、待てと言っている。乳首の先が硬いのは...アレだ、この部屋がいや、今しがたシャワーを浴びたからとして。私の子宮は下がってきてないし、求めてもいない。会話程度で妊娠なんてしないさ」
アマゾネスは『そうかもしれませんが、キノコはタケノコに駆逐されるべきなんです!!』と譲らない方針のようで、ちょっと埒が明かないなと。
戸口の向こう側で入るタイミングを失ってた、スノー・カフェインは、項垂れながらノックする。
まもなく、室内から。
「どうぞ?」
って声が聞こえてきた。
◆
王宮は建設の真っ最中で、かつて自治領だった頃の屋敷が宮殿を兼ねてた。
その筈だったんだけど。
「なんで女王さまが、ボクの工房にて脚おっぴろげて寛いでんのかな?」
ボクのシイタケの傘クッションとか。
ボクのエリンギ抱き枕にしがみ付いて、寝転びながらスマホゲーしてる。
「あー、たまり場?」
「違うよ、ここ!!」
「じゃ、余暇を楽しむ?」
「ここはボクのリビング!!!」
ボクが寛ぐために、ボクの為の菓子とジュースを用意して。
ボクじゃない住民が消費してくれている、そんな優しくない世界線。
「ちょっと、メルちゃんもハナ姉も自分たちの部屋があるでしょ!?」
マジ、なんなのこの人たちは!
「「「えーやだあ、つまんなーい、ねー」」」
ねーじゃ、ねえ。
3人が申し合わせたように、不満を家主に与える。
ストレスだあ。
バケツみたいなチビゴーレムが、ボクの代わりに洗濯してるんだけど。
この居候のせいで、洗濯物が一気に増えた。
しかも食事もだ。
「マルぅ~」
「なに?」
「このチップス、旨い! もっと作ってぇ~」
ぎゃあああ。
喰うなしぃー!!!