- C 907話 ぴんく☆ぱんさー 2 -
スカイトバーク王国は、王制だけなら400年近く歴史を刻んだ国家のひとつ。
ただし、王権がひとつの家に長く受け継がれてたかと言うと、その限りじゃない。
王権を得て王朝の継続に貢献できる家は、みっつあった。
アーチペラゴーニュ家は現王国を2世紀ちかく導いている家。
それ以前では、ビスク公カーディアス家が一代55年導いてた。
男子の急逝が相次ぎ、呪われた家と蔑まされて以降は、三女の嫁ぎ先だった“アーチペラゴーニュ家”に渡ったわけだけども。
これもねえ、けっこう怪しさ満点なんだよねえ。
奸計が疑われたんだけど。
アーチペラゴーニュ家と対をなし、大富豪でもあるサルヤン公モルヴァン家は女系。
アーチペラゴーニュが王朝を継いでる現在も、当主は女性が継いでいる。
まあ、モルヴァン公爵の方も、恐らくはパフォーマンスじゃないかなあと。
ボクの弟子たる末姫フィズは王家の内情を晒した。
パフォーマンスねえ。
◇
さて。
甲蛾衆のアリスさんは、王宮へ直接向かう前に――ウナちゃんたちとの合流が叶わなかったので、アリスさんの機転によってお迎えとは違った形で、コンタクトを取る必要に迫られた。
東大陸にある甲蛾衆の拠点。
グラスノザルツ帝国風ひとつ星ホテル“ゲルリッツ”。
称号たる『ひとつ星』は、本店が認められた折から掲げている看板であって。
東大陸にある支店の評価ではない。
だが。
貴族邸を改築した3階建てのこじんまりとした屋敷は本店並みのサービスが受けられるよう。
細心の気配りが細部まで届くよう、心掛けられていた。
「甲蛾衆の神髄は旅籠経営から始まる」
やや自慢げに語るのだけど。
アリス自身が経営者であったことは一度もない。
専ら、副業を徹底的に鍛えているのは妹のスノーの方だ。
投資などの運用で活動費も工面してた。
出来過ぎる娘である。
「また、適当なこと言いやがって」
部屋でくつろぐ3人。
いあ、総長はシャワーを浴びに行って、浴室で叫んでた。
どうやら常備されてたシャンプーが...。
いつも使ってるものと同じだったとかで。
「こ、これどこ情報だよ!!」
素っ裸で客間にまで、すっ飛んできた。
足首から下は起毛立つスリッパなんだけど、その上は一糸ないつんつるてん。
「ぎゃああー!!」
「わー!」
「見んなーボケぇぇぇぇぇぇ!!!!」
騒ぎが大きくなった気がする。
長髪ウイッグを身につける事が多い、総長だけども。
素はベリーショートのナイスなボディ。
揺れる弾む立派なメロンに。
くびれて丸みの強い腰と茂み。
「やべ、硬くなった」
呟いたつもりだけど。
アリスさんに生理現象が来た。